この記事をまとめると
■GMは軍用車のハマーH1を乗用車として再現したハマーH2を販売した
■ハマーH2はH1のシルエットを踏襲したボクシーで無骨なデザインが人気を博した
■2006年にはH3というさらに小ぶりなハマーが発売された
ハマーH1の予想外の人気に便乗して開発されたハマーH2
よりによって、アーノルド・シュワルツェネッガーが普段のアシにしたものだから、ハマーH1は軍用車にもかかわらず一般に販売されるほどの人気を博しました。とはいえ、ガチの軍用車両ですから一般道ではなにかと不便もあったはず。それを見越したGMが、ちゃちゃっとナンチャッテハマーを作ると、初代を上まわる大人気となりました。国内でも一部のヤンキーからひっぱりダコとなったH2ですが、じつはオフロードも得意というガチなSUVだったのです。
ハマーH2のフロントスタイリング画像はこちら
ハマーH2という車名からすると、初代H1からのモデルチェンジとか派生モデルを想像しがちですが、厳密に言えば縁もゆかりもないクルマといって差しつかえありません。なにしろ、H1は前述のとおりAMゼネラル(前身はアメリカンモーター)という大型車両や軍用車を作っていたメーカーの製品。およそ18万台のH1を製造したのちに、ハマーの名前や意匠(デザイン)を含めた販売権がGMに譲渡されたのです。つまり、GMはH1のソックリさんを作り上げたということ。
もっとも、GMとてバカではありませんからハマーが売れに売れた要因をしっかり分析して、「でかくて、四角くて、派手なカラーやクロームが似合うクルマ」にすればいい、と結論づけたのでした。その結果、H1のシルエットを踏襲したボクシーで無骨な車体がデザインされ、中身はシボレー・タホやその他GM製品から寄せ集めるということに。
ハマーH2のリヤスタイリング画像はこちら
もちろん、エンジンもスモールブロックのV8、6リッター(LQ4)から6.2リッター(L92)が用意され、それぞれ325馬力、393馬力を発生。前者が2900kgほどで、後者3000kgほどの車重ですので、燃費はアメリカ人さえも頭を抱えるひどさ(笑)。
ハマーH2のエンジン画像はこちら
アメリカ国内でのテストによれば、リッターあたり3.8~4.6kmだそうですから、触媒やらなにやら規制を受けたり、旅客機並みのデカいタイヤ&ホイールにすればさらに悪化するこというまでもありません。
燃費の悪さに加え、全長5171mm、全幅2062mm、そして全高2012mmというちょっとしたプレハブ小屋みたいなサイズから購入を控えた方も少なくないでしょう。クルマは行動範囲を広げてくれるものとばかり思っていましたが、H2は駐車場所を選ぶことから逆に行動範囲が狭くなるという稀有な存在なのです(笑)。