免許取得の難易度が下がったらドライバーの質も落ちた!? AT限定免許と悪質なクルマ関連事件に関連性はあるのか

この記事をまとめると

■近年は危険な運転をするドライバーがとくに目につくようになった

■AT限定免許の登場やクルマの性能向上が関係していると推測できる

■事故の加害者にも被害者にもならないような運転を心がけたい

あおり運転をする人は運転が下手

 アクセルとブレーキの踏み間違いや、あおり運転。自動車をめぐるトラブルはいまに始まったことではないが、近年になって信じられないような事故や事件を目にすることが多い。交通マナーを守らないドライバーが増えたようにも感じるが、そもそも無謀で危険な運転が目につくようにもなったのだ。

 その背景には、1991年に創設されたオートマチック限定免許(AT限定免許)が大きく影響していると考えられる。従来のマニュアルミッション(MT)にかわって運転が容易なAT車が普及したことによって、新たな免許制度が誕生したのだ。そして皮肉にも、そこからドライバーの質が明らかに変わったように感じてならない。免許を取得していない人であっても簡単に運転することができるようになったAT車が、日本の交通社会をよくも悪くも変えたといえるだろう。

 さらに、自動車の性能が上がり、加速や減速、そして高速走行時での安定性などが優れるようになった。それに伴い、技術がないドライバーが自動車の性能に助けられて運転がうまいと勘違いし、無謀な運転をするようになったのである。あおり運転は、その代表的なものだといえるだろう。あおり運転をする乗用車を見かけることは多いが、そのすべてのドライバーが運転技術に優れていないと感じる。上手なドライバーであればギリギリまで車間を詰めることなく、安全マージンを確保したうえで追い越しのタイミングを計るもの。その計算ができずに危機管理能力にも長けていないドライバーが、あおり運転をしているのだ。そのため、ひとつ間違うと大事故につながってしまうのである。

 そして、あおり運転を誘発するドライバーも増えている。高速道路ではいつまでも追い越し車線に居座ったり、速度が安定しなかったり。その手のドライバーは、例外なく自車の速度や周囲、そして後方の状況を確認するという運転に必要な最低限のセンスや技術すらもち備えていない、ある意味で悪質なドライバーである。そんなクルマの後方で車間を詰めてあおるという行為がどれほど愚かで危険かということは、改めて説明するまでもないだろう。

 それらがすべてAT限定免許やAT車のせいだと断言できるわけではないが、大きく影響していると考えることはあながち間違いではないだろう。そして、大きな問題となっているアクセルとブレーキの踏み間違いに関しては、MT車ではなくAT車特有の交通事故だと考えることができるのだ。

 いまの日本では、大型トラックを含めたほとんどの自動車が、技術を要せず簡単に乗ることができるAT車である。その事実を踏まえながら、周囲のクルマを信頼せずに安全マージンを確保することが、令和を生きる術であるといえるだろう。運転に長けている人も、自信がない人も、悲惨な事故の加害者にも被害者にもならないような運転を、ぜひとも心がけてほしい。


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