これぞ「2ドアクーペ」なスタイリングに痺れる! 消滅が残念すぎるアウディTTにいまだ復活希望の声やまず!! (2/2ページ)

TTが守り続けたキャラクターとは

 アウディTTの大きな特徴が、3代約25年に渡るモデルライフで、クーペ形状の変化がほとんどなかったことだ。ポルシェ911のように、何代目であろうと、ひと目でTTとわかるスタイリングを貫いたところにある。

 2006年に登場した2代目アウディTT(2006-2015)も、エクステリアは初代TTのイメージが色濃く残ったもので、ボディサイドを走るプレスラインの精密な鋭さ(ゴルフⅦにも共通する)が2代目モデルの証でもあった。

 しかし、プラットフォームは2代目アウディA3と共通のアウディスペースフレームテクノロジー(ASF)を採用することで、ボディの約70%がアルミ化され、ねじれ剛性を向上(クーペ約50%、ロードスター約120%)させるとともに、同じプラットフォームを用いるVWゴルフより100kg近い軽量化をはかることが可能になっている。

 なお、初代初期モデルのウィークポイントだったボディリフトは、120km/hで自動的にせり上がってくる電動格納式リヤスポイラーとフラット化されたアンダーボディによって解決している。

 2代目のパワーユニットは、おなじみの1.8リッター直4ターボ、2リッター直4ターボ、2.5リッター直4ターボ、3.2リッターVR6、2リッター直4ディーゼルなど、幅広いラインアップを揃え、駆動方式は4WDのQuattroとFF。ミッションは6速MT、6速DSG、7速DSGが用意されていた。ボディサイズはやや拡大し、全長4178×全幅1842×全高1353mm。車重は1260~1490kg。2014年には世界累計販売台数50万台を達成している。

 日本仕様はFFの1.8TFSI、4WDの2.0TFSI Quattro、3.2 Quattro、そしてTTロードスターの2.0T FSI Sラインなどが販売されていた。

 独立したヘッドレストをもたない後席の狭さは相変わらずで(身長158cmの女性でもほぼ無理だった。小さな子どもならなんとかなるが……)、ポルシェ911と同等かそれ以下。しかし、290リットルだったラゲッジルームは5:5分割可倒式の後席を倒すといきなり700リットルの容量が確保され、ふたりでスーツケース、ゴルフバッグ(縦置き)などを積んだドライブ旅行にも対応してくれるようになる。

 そして、アウディTTの最終型となった3代目(2015~2023年)が2014年のジュネーブショーで初公開。エクステリアデザイン、ボディサイズは2代目と大きく変わらないものの、プラットフォームをVWと共用するMQBプラットフォームに刷新(2代目比でホイールベース+37mm)。全長4180×全幅1830×全高1380mmとなったボディは、ついにオールアルミ製となり、2代目比で最大50kgの軽量化も果たされている。

 内外装の高級感は一段と増し、エンジンも1.8リッターが廃止され、2リッター直4インタークーラー付きターボ(230馬力・37.7kg-m)が基本となった。ミッションは6/7速Sトロニックの組み合わせとなる。

 クーペとロードスター、FFと4WDのQuattroの両方を用意するスタイルは継承。そのトップモデルとしてはTT RSが存在し、2.5リッター直5ターボ搭載で400馬力を発揮。0-100km/h加速はクーペで3.7秒、ロードスターで3.9秒、最高速度280km/hとされていた。

 アウディTTが歴史の幕を閉じることになった2023年4月に、200台限定のTTSクーペメモリアルエディション、2023年10月にはTTクーペファイナルエディションが生産終了を告げる最後の限定モデルとして登場。最終モデルは2019年のマイナーチェンジ以降のモデルとなるが、それ以前のTTよりさらに精悍さを増したエクステリアが特徴だ。

 ノーマルモデルでもSラインに準じたデザインが取り入れられ、スポーツモデルのSラインやTTSはさらに精悍さあるデザインを纏うことになったのだ。2.0TFSIの2リッターエンジンは低速からトルキーで走らせやすく、高回転までまわしたときのスポーツカーらしい咆哮、鋭さある加速性能が魅力で、Quattroによる安定感は高速道路、山道でもいかんなく発揮され、アウディクォリティによるスポーティな走りを堪能させてくれたものだった。

 現在、アウディのラインアップではすでにR8も2024年に生産終了していて、スポーツカーは存在しない。これも時代の流れからだろうが、比較的手ごろであったアウディTTの復活を望む声は少なくない。

 2025年4月中旬現在、中古車検索サイトを覗いてみると、アウディTTの3代目後期モデルやファイナルエディションを見つけることができたが、多くは400万~700万円前後が相場のようだ。

 とはいえ、ポルシェ911の中古車価格がとんでもなく高騰しているいま、比較的買いやすい価格ではないだろうか。多くは安心できるアウディの認定中古車が中心で、走行距離が極めて短い車両(1万〜3万km)も目立つ。いまでは中古車でしか手に入らないものの、狙い目のドイツ製スポーツカーといえるのではないだろうか。


この記事の画像ギャラリー

青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ゴルフヴァリアント
趣味
スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
好きな有名人
Yuming

新着情報