アメ車に対するイメージが日本ではまだよくない
輸入車ではないが、2005年に日本国内でもレクサスが開業すると、待っていましたとばかりに下町の工場の社長など、中小企業の社長がレクサス車を買おうと金融機関に融資を申し出た。しかし、「トヨタブランド車ならいいのですが……」と断られたという話を聞いたことがある。
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一方で、開業当初レクサス車は地方の富裕層の間でもてはやされた。「世間体を考えると輸入車にはなかなか乗れないが贅沢はしたい……」、そんなニーズをレクサスがカバーしてくれたのである。「レクサス?」と近所のひとに聞かれても、「トヨタのクルマですよ」と説明すると不思議なぐらい、すんなりと受け入れてもらえたとのこと。
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地方都市ではレクサス車の普及後、相乗効果で輸入車もよく売れるようになり、それまでは県庁所在地や中核都市ぐらいにしかなかった、輸入車ブランドディーラー店舗も続々と増えていった。
アメリカ車は戦後日本に駐留した連合国のアメリカ兵が本国から、シボレーやフォード、ビュイックをもち込み、本国へ帰任する際にそのまま日本で売却して置いていき、それが中古車として社長車やハイヤー、タクシーなどとして使われた経緯がある。
そもそもは輸入車のなかでも抜群の知名度と高級車としての人気がアメリカ車にはあったのだが、1970年代のオイルショック、そして1980年代前半をどん底とする品質低下もあり、その座はドイツ車へと移った。
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トランプ大統領はチャデモの充電規格がアメリカ車の販売を妨げているとも主張している。つまり、BEV(バッテリー電気自動車)嫌いにも見えるトランプ大統領も、ビジネスレベルではアメリカ車の日本における積極販売の切り札は、BEVと考えている節があるのだろう。
BEVについては日本でも世界的なトレンドと同じく、富裕層の間での普及は有望であり活況となっている。富裕層ならば輸入車というキーワードは販売促進に効果的だ。中国やアメリカでは新興のBEVメーカーも勢いがある現状を見れば、自分のライフスタイルに合うBEVを選んだら、それがアメリカンブランドだった……という流れは有効なように考えている。日本におけるテスラの売れ行きを見ればそれは明らかである。
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アメリカ車を強調すれば、どうしても日本における1980年代から引っ張る黒歴史のようなものがついてまわる。
かつてはドイツ系やフランス系であっても、日本に輸入される各モデルの原産国にこだわる傾向の強かった日本の消費者だが、昨今のテスラの例をあげれば、中国製も存在していようとも、それがマイナスに働いているようには見えない。
トランプ大統領は、アメリカ製のアメリカ車の日本での積極販売を望んでいるようだが、日米双方とも柔軟にものごとを考えて行かないと、この問題はなかなか着地点を見いだせないかもしれない。
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