こんな静かで快適なクルマ……存在するのか! 世界が腰を抜かした「初代セルシオ」があまりにも凄いクルマだった (2/2ページ)

輸入車に見劣りしないどころか凌駕するクオリティ

 そんな初代トヨタ・セルシオは、冒頭で述べたように平成元年の1989年10月に国内デビュー。デジタルメーターに代わる自発光式メーターや、オーディオ再生用のDATデッキなどを日本車として初採用していた。1992年のマイナーチェンジでは、タイヤ&ホイールを15インチから16インチにアップグレードし、助手席エアバッグやGPSナビゲーションもこのタイミングで加わっている。

 この時代の日本は、まさにバブル景気終焉の一歩手前。クラウンをはじめとする国産高級車だけでなく、輸入セダンからの乗り換えも多く、街にはセルシオが溢れかえっていたといっても過言ではないほどの人気を獲得していた。

 筆者の知り合いの高級輸入車を乗り継いできた社長族も、「これなら堂々と乗っていられ、むしろ快適で疲れない」とセルシオに乗り換え、大満足していたようだ。なかにはレクサス、LS400のエンブレムを付けて、右ハンドルながらレクサスを気取っていたユーザーも少なくなかった。

 その走りはこれまでの日本車にない圧巻の高級感、つまりV8エンジンと前後ダブルウイッシュボーン式サスペンションによる素晴らしすぎるスムースさと、世界の高級車を驚かせた静かさが特徴だ。さらに、内外装の日本車屈指の高級感もまた、国内外のセルシオ人気を決定づけたといっていい。

 初代セルシオはバブル終焉後の1994年まで販売され、2代目へと引き継がれた。その2代目セルシオについてはここでは言及しないが、初代セルシオはいまでも中古車市場にそれなりの数が流通している。中古車価格は後期型でも100万円前後からと、特段のプレミア価格になってはいない。

 中古車のなかには「eRバージョン」と呼ばれたヨーロッパ仕様のサスペンションと大径タイヤを履くモデルも見受けられ、標準サスペンションの夢のようにソフトな乗り心地とは違う、欧州風味なやや硬めのサスペンションセッティングが人気のようだ。エアサスのC仕様はさすがに修理代に覚悟が必要……という情報もあり、ネオクラシックな「高旧車」として乗るならB仕様、eRバージョンがベターかもしれない。


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青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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スニーカー、バッグ、帽子の蒐集、車内の計測
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