高速道路に並ぶ謎の「うちわ」! じつはコストと安全を両立した大切な設備だった (2/2ページ)

どこに設置されてる? なぜこんな形に?

 このうちわのようなパーツは、中央分離帯を挟んで対向車線が並んでいる区間に設置されています。対向車の光を遮るのであれば、フェンス状の板を中央分離帯で仕切るように設置したほうが手っ取り早くて確実なのではないかという考えも浮かびますが、仕切ってしまうと横風を面でモロに受けるために、しっかりした強度を確保しなければならず、設置の手間やコストが多く掛かってしまいます。

 また、仕切ることによって空気の流れが分断されてしまうため、周囲の動植物への影響も無視できません。そのコスト面と仕切ることでの影響を抑える方法として考案されたのが、ここで紹介するウチワのような製品というわけです。

 この「眩光防止版」は、A4のコピー用紙を横向きにして縦に3枚連ねたようなサイズ(縦600×横300mm)の板と装着用のステーでできていて、道路の進行方向に対して横向きに設置されます。設置の間隔はガードレールの支柱(または間隔材)の間隔によるので、だいたい2mおきでの設置をもとに設計されているようです。

 1枚では短い区間での遮断効果しか見込めませんが、一定の間隔で連ねることによって、中央分離帯寄りの追い越し車線走行時の対向車のヘッドライトの光を遮ってくれます。枚数を多く設置する必要がありますが、個々の板の面積を抑えることで風の負荷を低くすることができるので、固定のために専用の支柱を必要とせず、低コストでの設置が可能になるうえ、既存のガードレールの支柱や間隔材などに後づけすることも可能となっています。また、進行方向に対して横向きには空気の流れを遮っていないので、環境への影響も最少で済むというメリットもあるようです。

 似たようなものとして、適度な反射効果をもたせた素材に矢印マークを印刷して照明の少ない区間でカーブの形状を知らせる効果を付加したものや、仮設のガードレールの支柱に脱着できるタイプなど、用途に応じていろいろな種類の製品が考案されています。この記事を読んで気になったという人は、次に高速道路やバイパスなどを走行するときに、この「眩光防止版」の存在をちょっとだけ気にして見てみてください。


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往 機人 OU AYATO

エディター/ライター/デザイナー/カメラマン

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釣り/食べ呑み歩き/道の駅巡りなど
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