この記事をまとめると
■高速道路の中央分離帯に並ぶうちわのような構造物の正体は「眩光防止板」
■対向車のヘッドライトの光による視界不良を防ぐために設置されている
■空気の流れやコストにも配慮した設計で、安全性と環境性を両立した優れもの
高速道路を走っているとたまに目につく謎の「うちわ」
信号の無い高速道路やバイパスを車で走行しているとき、ほとんどの人は同じ区間を走っているクルマの流れや動向、標識や表示板などの安全に走行するための情報に注意が向いていることと思います。そのため、ガードレールやフェンスなど道路周辺の構造物の様子に注意が向くことは、渋滞で手もちぶさたになったりしない限りはないのではないでしょうか。
しかし、いちど注意を向けてみると、交通の安全を保つために、いろんなものが設置されていることに気付くでしょう。なかには、中央分離帯などにまるで四角いうちわがいっぱい並んでいるように見える構造物が気になったという人がいるかもしれません。ここではそのうちわのようなモノがなんなのかというところにスポットを当てて、ちょっと掘り下げてみようと思います。
中央分離帯にある眩光防止版画像はこちら
この中央分離帯に装着されているうちわのようなパーツは、一般に「眩光防止板」と呼ばれているものです。「眩光防止」とあるように、まぶしい光を遮る目的のために装着されています。高速道路やバイパスなどを走行中に、対向車線を走るクルマのヘッドライトの強い光がモロに目に入ってしまい、瞬間的に視界が失われそうになった経験があるというドライバーは少なくないでしょう。
ヘッドライトの光は、すれ違い灯のロービームで40m先を、走行灯のハイビームでは100m先を照らして、夜間の視界を確保するものでなければならない、と決められています。そのため、近くでヘッドライトの強い光を直視すると、「陽性残像」といわれる、目の前に光源がいなくなったあともその光の刺激が網膜や脳に残っているために起こる残像現象を引き起こし、視界の一部が一時的に失われた状態になります。
夜間の高速道路を走行中のイメージ画像はこちら
この「陽性残像」までいかなくても、強い光が正面側にある状態ではその光に目が馴染もうとするため、暗い部分の認識がしづらくなってしまいます。これは速度域が比較的低い一般道でもいえることですが、速度域が高い高速道路やバイパスでは、視界が損なわれる時間がわずかでも大きなトラブルにつながる可能性が高く、危険度がとても大きいです。その視界の損失による危険な状態の発生を極力防ぐため、これらの防止対策が講じられているのです。