クルマとしてはめちゃくちゃ良かったのよ! 英国生まれの「トヨタ・アベンシス」は見た目も走りも感動モノだった!! (2/2ページ)

3代目は使い勝手も走りも一流の仕上がり

 ややボッテリとしたエクステリアデザインだった2代目に対して、いきなりスタイリッシュになったのが、2008年のパリモーターショーで初披露され、欧州の発売から3年遅れて2011年に日本に導入されたT270型となる3代目アベンシスだ。この3代目では、より人気の高かったワゴンのみの輸入となっているのも特徴だ。そのもうひとつの理由が、当時、トヨタのミドル、ラージサイズのワゴンが消滅していて、そこにあてがう目的でアベンシスのワゴンのみ輸入販売されたとみていいはずだ。

 トヨタの説明によれば、「欧州車を超えるトヨタの欧州車」をテーマに、欧州市場におけるトヨタのフラッグシップモデルとして専用開発されたのがアベンシスであり、車名は仏語の「AVANCER(前に進む)」に由来。この3代目も英国のTMUK(トヨタモーターマニュファクチャリング)で生産され、2016年モデルのラインアップは、2リッター直4(3ZR-FAE)エンジン搭載の「Xi」と、質感の高い内装デザインと装備が充実した上級グレードの「Li」を設定。

 エクステリアでは、LEDクリアランスランプと組み合わせたBi‐Beam LEDヘッドライトと、大きく力強いロアグリルにより、ダイナミックなフロントマスクを実現。インテリアでは、インストゥルメントパネル上部からフロントドアの上部へ流れるようなデザインとすることでフロント全面を一体化し、ワイド感を表現。センタークラスターのデザイン変更も加わりシャープな印象に、より先進感を付与した。メーターは迫力あるふたつの円筒形状のシリンダーデザインで立体感をもたせるなど、プレミアム感を向上。

 さらに、欧州の道が鍛え抜いた走りの実力を十分に発揮しながら、JC08モード走行燃費14.6km/Lを実現するなど、走行性能を向上させた。また、衝突回避支援型プリクラッシュセーフティ、レーンディパーチャーアラート、オートマチックハイビームをセットにした衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」を全車標準装備。レーザーレーダーと単眼カメラを組み合わせ、異なるふたつのセンサーで高い認識性能と信頼性を両立し、多面的な安全運転支援が可能。今回、「Xi」に切削加工を施した16インチアルミホイールを標準装備。力強いデザインとあいまって、よりプレミアム感を向上……ということになる。

 ボディサイズは全長4780×全幅1815×全高1480mm。ホイールベース2700mm。前席の広さに驚きはないが、各部の質感はシンプルにして上々。後席は十分に広く、フロアがフラットなこともあって快適に過ごせる。注目はやはりラゲッジルームで、後席使用時で543リットルを確保。床下にも、トノカバーを収納できるサブトランクスペースがあり、使いやすさは文句なし。後席を倒せば奥行き1920mmの広大なスペースが出現するあたりも、欧州のワゴン市場での”お約束”だろう。

 日本仕様のパワーユニットは、欧州では数あるものの、3ZR-FAE型の2リッターバルブマチックのみで、CVTと組み合わされる(Xi)。サスペンションは欧州仕様そのままで、トヨタとして初の電子パーキングブレーキを採用していた。

 その走りは当時「感動」に値するものだった。152馬力・20.0kg-mを発揮する2リッターエンジンにしても、2.4リッター相当を思わせるトルク感があり、ドライバビリティは極めて優秀。乗り心地に硬さはあるものの、先代よりもしなやかで、フラット感もばっちり。ステアリングフィール、レスポンスもなかなか。欧州テイストの走りの気もちよさがしっかりと実現、演出されていたのを覚えている。その上で、250万円という価格は破格としかいいようがないほどお値打ちだった。エクステリアデザインにしても、現代でも十分通用するカッコよさがあったのである。

 そんな、輸入車のトヨタ・アベンシスワゴンは2018年4月に国内での販売を終了。で、その中古車だが、保証付きのトヨタの認定中古車でも50万円からMAX130万円程度で見つけることができる。割安なトヨタ品質かつ欧州テイストあるワゴンを探しているなら、地味な存在ではあるものの、狙い目の1台といえるかも知れない。


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青山尚暉 AOYAMA NAOKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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