タイヤだけでなく作業するための工具もすべて積んでいる いずれにしてもラリー競技では、サービス以外、たとえばスペシャルステージやロードセクションでタイヤ交換を行うことが多いだけに、ジャッキやクロスレンチ、インパクトレンチ、トルクレンチも必須のアイテムで、リヤのラゲッジやロールケージに各ツールを固定。ちなみにジャッキに関しては、コンパクトで軽量なパンダジャッキが主流となっているようだが、国際規定に基づいて自動車メーカーが開発したRally2カーは、高価な純レーシングカーだけあって、コンパクトで作業性の高い専用の油圧ジャッキが標準装備されている。
ラリー競技車のロールケージなどに固定された工具など 画像はこちら
そのほか、スペシャルステージでクラッシュした際に、後続車へ合図するための三角停止表示板や消火器も必需品で、粉末タイプの消火器だけでなく、JN1クラスの国際規定モデル/国内規定モデルは二酸化炭素タイプの消火器も搭載されている。さらにケガに対処するための救急キット、ドライバーやスパナ、レンチ、ハンマー、タイラップなど、簡単な作業を行うための工具セットもラリーカーに必要な搭載アイテムといえるだろう。
ラリー競技車に搭載される工具や救急キットなど 画像はこちら
これに加えて、クルーが飲むためのドリンクなどもラリーカーに車載されており、Rally Team AICELLOの2号車「AICELLO速心DLヤリスRally2」を駆るドライバーのヘイッキ・コバライネン選手は水が2本、コ・ドライバーの北川紗衣選手は水が1本、スポーツドリンクが1本といったように好みの飲料が搭載されている。
また、長距離ステージが設定されたラリーでは、車両重量の重いマシンの場合、ブレーキオイルやエア抜き用セットを搭載したり、ラフグラベルラリーの場合、ドライブシャフトなどのスペアパーツを搭載するチームも少なくない。当然、ドライバーおよびコ・ドライバーはタイヤ交換はもちろん、簡単なリペア作業の技術が必須で、ラリー競技に挑む選手はドライビングやノートリーディングだけでなく、テクニカルな知識が求められているのである。
なお、ラリー飛鳥では9号車「YAHAGIシュコダ・ファビアR5」の新井大輝選手/立久井大輝選手がJN-1クラスでシーズン初優勝を獲得したほか、10号車「FITEASYソミック石川DLGRヤリス」の山田啓介選手/藤井俊樹選手がJN-2クラスで今季2勝目を獲得。JN-3クラスでは33号車「SammyK-oneルブロスYHGR86」の山本悠太選手/立久井和子選手が3連勝を達成しており、JN-4クラスでは46号車「ロッソレーシングWMDLスイフト」を駆る藤原友貴選手/宮本大輝選手が初優勝を獲得した。
ラリー飛鳥のJN−1クラスに参戦する9号車「YAHAGIシュコダ・ファビアR5」 画像はこちら
そのほか、JN-5クラスでは49号車「DLクスコWMタカタOTS・TWRデミオ」の河本拓哉選手/有川大輔選手が2連勝、JN-Xクラスでは61号車「TRT・DL・RAV4 PHEV」の天野智之選手/井上裕紀子選手が3連勝を達成している。