日本人にゃ「まだあったの?」的な北米ブランド「ビュイック」が中国で人気! 逆にアメリカじゃ「中国感」があると敬遠する人も (2/2ページ)

中国で高級商務車といえばビュイック

 筆者は今回、上海日本総領事館に近い場所にある日本人が多く宿泊するホテルに泊まった。観光ではなく業務出張での宿泊が圧倒的に多いようで、朝はそれぞれの企業が用意したクルマで仕事先に向かっていた。迎えに来たクルマの多くがビュイックGL8であった。

 トヨタ・アルファードやトヨタ・クラウン、ヴェルファイアは日本からの輸入車となるので、直接GL8のライバル関係にあるとはいえないのだが(価格差がある)、中国メーカー各社がこぞって高級商務車をいまではラインアップしている。しかもBEV(バッテリー電気自動車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)が多い。

 一方のGL8はマイルドハイブリッド仕様の2リッターターボがメインとなっている。新車販売におけるBEV比率が4割とされる中国であっても、いまだにストロングハイブリッドでもないGL8が高級商務車のトップブランドとして君臨しているのである。中国のビュイックサイトをみると、派生車種も含めると5つのタイプが用意されている。いまだにGL8は高級商務車の頂点に立っているといっていい。

 中国では、空港からのシャトルサービスやそれこそ”白タク”までビュイックGL8だからとして料金をふっかけてくるぐらい、高級商務車としての知名度も高いのである。

 街なかを走るクルマを見ていると、「ヴェリテ(微藍6)」というビュイック車も多く見かける。BEVのみのステーションワゴンタイプとなるのだが、街で見かけるヴェリテ6のほとんどはライドシェア車となっていたようであった。ラインアップ数はコロナ禍前に比べると減っており、ビュイックといっても街で見かけるのはGL8とヴェリテ6のみといってもいいぐらいとなっている。

 偉いお役人や大手企業幹部が乗っているという触れ込みは、中国ではかなり販促効果が高くなるだけではなく、ステイタスそのものを上げていく。

 地方の役人が北京にきた際、政府幹部や党幹部所有のトヨタのマイクロバスとなるコースターで北京をめぐることが多かったとも聞き、そのようなこともあって、コースターはマイクロバスのなかでも別格のステイタスをもっている。空港ではボーディングブリッジを使わず、バスを飛行機に横付けして乗り降りする際は、ビジネスクラスやファーストクラスの乗客には白い布のフルシートカバーがかかっていたりするVIPコースターが専用に用意されるぐらいである。

「昔とった……」ではないが、GL8は高級商務車としていち早く中国でラインアップされ、選択肢もなかったことから、政府や大手企業がこぞって使っていたことで、いまもなお絶大なブランドステイタスを維持しているのである。中国でここまでビュイックブランドの存在感が高くなったことで、逆にアメリカではビュイックの中国臭を嫌うひとがいるとも聞いている。


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小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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