この記事をまとめると
■上海モーターショーに紅旗がブースを出展していた
■紅旗ブースは事前予約制による入場制限エリアとフリーなエリアとに分かれていた
■かつては中国政府要人専用車であった紅旗もいわゆる民生版のラインアップを広げている
中国人が憧れる中国車ブランド「紅旗」
みなさんは中国の“紅旗”ブランドというものをご存じだろうか。1958年に中国共産党や中国政府要人専用車としてCA72を開発して以降、中国共産党や政府要人専用車を製造してきた中国では由緒あるブランドだ。その後、2006年に当時のトヨタ・クラウン・マジェスタをベースとした“HQ3”というものが、一般人民向けとしてデビューしている。
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2025年4月下旬から5月上旬にかけて開催された、上海モーターショー(上海国際汽車工業展覧会)会場内紅旗ブースへ行くと、事前予約制で入場制限をかけていたエリアと、一般的なモーターショーのようにフリーで出入りできるエリアとにわかれていた。事前予約を試みたのだが、入力していくと中国人民以外では登録不可能な項目があり断念した。入場制限のあるブースはまさに豪華ムードに溢れていた。
要人専用車というわけではなく、一般人民も購入可能と思える車種も展示されていたが、おそらく一定の購入制限がかけられているものと考えている。“国~”という車名のモデルが特別なものとなるようで、アルファベットと数字で組み合わされる車名のモデルは一般人民が制限なく購入できるモデルとなっているようである。
ちなみに制限エリアに展示してあった、どこかベントレーに雰囲気が似ている“国雅”という大型サルーンは140万元(約2800万円)からとなっていた。
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豪華マイクロバスとなる“国悦”は廉価仕様の“商務版”20座席仕様で46.8万元(約916万円)からとなっていた。価格表示はされているものの、「誰でも簡単に購入はできないよなぁ」というオーラが、それぞれのモデルを見ただけでヒシヒシと伝わってくる。
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北京在住の共産党や政府要人は、これまでトヨタ・コースターを10席の豪華な内装に架装するなどして、地方の役人や党幹部が北京にきたときの業務での移動や市内観光などで使用するために個々で所有していたようだが、紅旗による豪華マイクロバスのラインアップは、とくにこのあたりの需要を狙っているので、当然なんらかの購入制限はかかるであろうことが予想される。
誰でもフリーで出入りできるブースにあった展示車でもっとも手ごろに見えた、コンパクトセダンスタイルのBEV(バッテリー電気自動車)となるE-QM5の廉価版は16.58万元(約331万円)からとなっていた。
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PHEV(プラグインハイブリッド車)のH5では15.98万元(約319万円)から、48Vマイルドハイブリッド仕様2リッターターボを搭載する“HQ9”という高級ミニバンは“公務版”で34.88万元(約697万円)からとなっており、こちらのブースに置いてあるモデルは一般人民でも予算的にもスンナリ購入できる“紅旗”ブランドとなっている。
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そのせいもあるのか、上海市内で信号待ちなどをしていると紅旗ブランド車を6年前では考えられないほどよく見かけるようになった。一般人民でも購入可能といっても一般的な同クラス中国メーカー車よりは“紅旗”ブランドなので価格は高めとなっている。日系や欧米などの外資系高級ブランド車も視界に入ってくるが、あえて紅旗ブランド車を選ぶということは、中国国内でのガラパゴス化、つまり中国メーカー車全体の販売比率が圧倒的に高まっている流れから見ても、消費者が自国ブランド車の品質などに自信をもつようになった証といってもいいかもしれない。
そのような消費傾向も見ながら、紅旗もいわゆる民生版のラインアップを広げているのだなと感じた。