この記事をまとめると
■ホンダが「ビジネスアップデート2025」を発表した
■時流を読んだ臨機応変な対応によりBEV計画に一部変更がなされている
■三部社長にホンダの電動化・知能化戦略について聞いた
2050年のカーボンニュートラル実現に変更なし
■ホンダの電動化見直し
恒例となったホンダのビジネスアップデート2025が公表された。大きなテーマは電動化と電脳化の戦略変更だが、電動化に関してはバッテリーEV(BEV)計画を見直し、BEV比率を30%から20%程度に下げる可能性があると発表した。ややトーンダウンと思われる計画変更だが、むしろ時代の空気を読むなら当然かもしれない。
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その背景には、伝統的な自動車メーカーが取り組むBEVでは販売も好調とは言えず、BEVで先行するBYDやテスラには追従できない。しかも、アメリカのカリフォルニア州のZEV法(ゼロエミッション)が緩和される計画もあり、BEV戦略の見直しが必須となった。
しかし、伝統的な自動車メーカーは、HEVや高効率ICE(エンジン)で実質的なCO2削減を続けているので、ホンダのBEV戦略がトーンダウンしたというよりも、現状の市場をしっかりと認識し最適化したと私は理解している。
■三部社長は頑固一徹
記者会見後に行われた三部社長(貝原副社長と井上専務も同席)とのラウンドテーブルの三部社長の発言から、BEVシフトへの思いは揺らいでいないと感じた。記者会見で明らかになったBEVの生産台数の見通しは、2030年に70万~75万台(グローバル)と当初予定よりも少ないが、2050年のカーボンニュートラルというゴールポストも不動のままだ。三部社長は、「何がなんでもその目標は達成する」と強い意思を示していた。
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三部社長は本田技術研究所に席を置いていたときからICEの限界を感じており、熱効率と排ガス性能を大幅に進化させることに膨大なコストがかかることから、むしろ脱石油を可能とするBEVに熱心に取り組んでいる。
■モーターが主役の時代か?
一方で、エンジンのホンダの存在感を示しているのが、最近のホンダF1だ。レッドブルのフェルスタッペンという天才的なドライバーの能力も大きいが、ホンダのレース好きファンは、「やはりホンダはエンジンだよね」と理解する。しかし、近年のF1は複雑なハイブリッドシステムを搭載しており、来年2026年からのレギュレーション変更では、エンジンとモーターのパワーバランスが変わり、より電動化比率が高まると期待される(エンジンとモーターの出力比率がほぼ50対50になる)。
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「エンジンが主、モーターが従」のシステムバランスから「エンジンが従、モーターが主」の時代になりそうだ。三部社長が描くビジョンを勝手に想像してみた。