知能化によって他社との差別化を図る
■ホンダの差別化は知能化
ホンダの知能化作戦は興味深い。2020年11月には世界初となるレベル3の型式指定をレジェンドで取得し、さらに自動運転レベル4に関しても、米国クルーズに投資するなど、ホンダの知能化作戦は熱をおびている。
ホンダが掲げるビジョンは、「2050年交通事故死ゼロ(保有台数と二輪車も含めた目標)」、非常にハードルは高いが、「自動運転・運転支援技術」(AD/ADAS)に熱心に取り組んでいる。今回の記者会見でも知能化はホンダの差別化戦略の一丁目一番地と考えていることが明らかになった。
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高度なADASは過信がつきまとうが、このシステムは自動運転とは異なり、あくまでもドライバーが安全確認を行い、事故の責任を負うシステムだ。
■AIがADASを進化させる
ホンダの最新のADASはアコードに搭載される「Honda SENSING 360+」だ。文字どおりクルマの周囲360度を監視し、ACCやLKASを高度化する。実際に乗ってみると、ライバルメーカーのADASよりも使いやすい印象だった。この「Honda SENSING 360+」にハンズフリーの機能が追加される。
アコードのハンズフリーシステムを使うと、足も手も操作から開放されて運転できるものの、ドライバーの目による周囲の安全確認は必要だ。ホンダはハンズフリーは高速道路での運転ストレスを軽減できると考えているが、やはり過信や誤解が心配だ。このあたりの話は、あらためて報告したい。
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ホンダはかねてより、周辺認識技術にAIを使うことを考えている。アメリカのベンチャーとして知られるヘルムAI(Helm.ai)はルールベースではなく、人間と同じ「エンドツーエンド」の周辺認識を行う。わかりやすくいうと、独自の教師なし学習手法を開発している。この手法では高精度マップなどが不要となると考えられている。
いずれにしても、ソフトウェアが鍵を握ることになるが、ホンダの最新のBEV──ゼロシリーズでは各機能ごとにわかれていた電子制御ユニット(ECU)を集約する「セントラル型」を採用する。これまで機能ごとにわかれていたシステムを連携することで、ソフトウェアの更新がしやすくなる。これがホンダのSDV(ソフトウェア・ディファインド・ビークル)の実態だ。こうして車内の人の顔や声、あるいは車外の映像などを分析し、より安全に、より快適に、より便利なクルマの価値を創造する。
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このようにホンダは「知能化」と「電動化」を両輪として、ライバルが急増する自動車産業のなかでホンダ独自の競争力を強化するつもりなのである。