あのジープ顔はもともとフォードのものだった! なんと27万台も生産されたフォードのジープとは (1/2ページ)

この記事をまとめると

■4輪駆動の多目的車両として知られるジープだがかつてはフォードもジープを製造していた

■ジープのアイコンである縦型スロットグリルはもともとはフォードのアイディア

■戦後にフォードがジープ事業から撤退したことですべてがウィリスに譲渡された

フォードもジープを生産していたという衝撃の過去

 若い人にジープといえば、まずはラングラーやチェロキーを思い浮かべるかと。ところが、お年寄りにとってのジープはかなり幅が広い、というか四駆はたいてい「ジープ」と呼びがち。ランクルだろうとパジェロだろうと、なんでもジープ(笑)。やはり、第二次世界大戦中に生み出され、戦後もウィリスや三菱が作っていたジープの記憶が色濃く残っているのでしょう。

 ところで、ジープはウィリスだけの専売特許でないことご存じでしょうか。じつはフォードも戦争中にジープのコピー車両をじゃんじゃん作っていたのです。フォードGPWと呼ばれたジープをご紹介しましょう。

 マニアの皆さんなら先刻ご承知かと思いますが、そもそもジープはウィリスが最初に作ったわけではなく、アメリカ陸軍の開発要請に応じたアメリカン・バンタム社による試作車が始祖とされています。陸軍が課した開発条件はとくに車重(585kg)の面で非現実的であり、国内の自動車メーカーのほとんどが尻込みしたところ、バンタム社はこれを無視して提案。ただし、強度や耐久性に長けることをアピールしたことでまんまと量産試作を作ることが承認されたのです。

 が、もともと小規模メーカーだったバンタム社にとって、短期間で試作車を大量に作ることは困難だと判断され、ウィリス、そしてフォードにバンタム案をアレンジしつつ量産試作を命じたとされています(諸説ありすぎるほどあります)。ラダーフレームに、前後とも縦置きリーフスプリングを用いたリジッドアクスルというシンプル、かつ強度、耐久性に優れた構造は、この時点で完成されていたといっていいでしょう。

 この後、3社が1500台の増産試作車を軍に納め、実戦評価がなされるとバンタムとフォードは残念ながら落選。ご承知のとおり、ウィリスMA(増産試作車)が正式採用となって、晴れてウィリスMBという正式名称をいただくことに。


この記事の画像ギャラリー

石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

文筆業

愛車
三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
趣味
DJ(DJ Bassy名義で活動中)/バイク(コースデビューしてコケまくり)
好きな有名人
マルチェロ・マストロヤンニ/ジャコ・パストリアス/岩城滉一

新着情報