北海道から九州までの最強戦士が富士スピードウェイに集結! S耐富士24時間レースを支えた355名のオフィシャルに拍手!! (2/2ページ)

セーフティーカーのスタッフも過酷!

──平塚さんは普段のレースでもセーフティカーに乗っているんですか?

平塚:セーフティカーはドライバーとオブザーバーの2名で乗車するんですけど、私は普段のレースのときからオブザーバーとして乗っています。そのほか、事務局で弁当を配っていることもありますね

──セーフティカーの担当としては、24時間レースは何が大変ですか?

平塚:セーフティカーが入るにせよ入らないにせよ、レース中はいつでも出動できるようにクルマに乗った状態で待機するんですけど、24時間レースは長いですからね。スーパーGTでは長くて3時間ぐらいで終わるんですけど、24時間レースはその8倍。もちろん、セーフティカーも3グループを組織して、交代で休憩や仮眠をとりながら運営しているんですけど、それでもずっと乗っていると疲れますよ。

──いま土曜日の夜の21時ぐらいなんですけど、次は何時から平塚さんはセーフティカーに乗る予定ですか?

平塚:21時から日曜日の2時まで。そこから7時間を休んで、また日曜日の9時から12時までセーフティカーに乗る予定です。

──休憩の7時間で仮眠をとられると思いますが、寝られますか?

平塚:やっぱり熟睡はできません。かなりしんどいです。

──同じ4時間でも昼間と夜間では違いますか?

平塚:夜間は睡魔が襲ってきますからね。絶対に寝てはいけないので、待機中に眠らないようにするのが大変です

──やっぱり24時間レースは辛そうですね。でも魅力もありますよね?

平塚:やっぱり“お祭り感”が最大の魅力です。ナイトセッションがあるレースは富士24時間レースぐらいなんですけど、数多くのお客さんがレースを見ながら、バーベキューを楽しんだり、花火や気球なんかも24時間レースだけ。そういったお客さんが楽しんでいる雰囲気がとても好きです。

──なるほど。平塚さんはセーフティカーを担当しているので、24時間レースが終わったときはどんな気もちですか?

平塚:やっぱり、ほっとしますよね。大きな事故がなければ安堵します。同時に疲れたなぁ……という気もちもありますね。

──ちなみに平塚さんは富士24時間レースでずっとセーフティカーを担当しているんですか?

平塚:そうです。私はもともと富士スピードウェイの職員だったんですけど、2018年の最初の大会からセーフティカーを担当しています。同時に事務局も担当していたので、レースウィークのトランスポーターの受け入れから、レース終了後の廃タイヤの引き取りまで担当していました。

──ということは、富士24時間レースの立ち上げのご苦労も知っているんですね。

平塚:じつは富士24時間レースが始まる前年の2017年にニュルブルクリンク24時間レースを視察したんですけど、そのときはテントの数の多さにびっくりしていました。でも、富士24時間レースもコースサイドにテントの数が増えてきて、お客さんも増えてきた。途中、新型コロナウイルスもあってお客さんの制限もありましたが、着実に富士24時間レースが定着しつつあるので、感慨深いですね。

──確かに観戦者が増えましたよね。それにオフィシャルも全国から駆けつけたりと、オフィシャルの間でも富士24時間が定着しているようですね。

平塚:24時間でシフトを組む場合、オフィシャルの人数が足りない……ということもあって、北は北海道の十勝スピードウェイ、南は大分県のオートポリスまで全国から手伝いに来てもらっているんですけどね。じつはニュルブルクリンク24時間レースもそんな感じで、ドイツだけでなく、ベルギーやオランダなどの隣国のほか、イギリスからもオフィシャルが手伝いに来ている。それだけヨーロッパでは、ニュルブルクリンク24時間レースは定着している。富士24時間レースもいまは国内限定ですが、香港や中国、台湾からもオフィシャルが来てくれるようになるといいですね。

 以上、2名のオフィシャルに話を聞いてみたが、富士24時間レースはオフィシャルにとっても過酷なレース。しかし、それと同時にやり甲斐も多く、レース終了後の達成感も特別なものらしい。

 いずれにしても富士24時間レースの運営には、彼らオフィシャルの存在は欠かせない要素で、事実、今大会においても濃霧の際にはセーフティーカーが走り続けたほか、コースポストでは車速の遅いクルマに青旗を提示。

 さらにマシンがコースアウトした際には、迅速に車両の回収およびクラッシュパッドの修復を実施したほか、ピットレーンでは各チームの作業をチェックするなど、まさに安全かつ公平なレース運営には必要不可欠な存在だいえるだろう。

 つまり、富士24時間レースにおいてオフィシャルは最大の功労者と呼べる存在。それだけに、各クラスのウィナーと同時に彼らオフィシャルにも称賛を贈りたい。


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廣本 泉 HIROMOTO IZUMI

JMS(日本モータースポーツ記者会)会員

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