えっ、人気だったのに……新型は「ムーヴ カスタム」廃止ってマジか! 消えた理由と新提案の「アナザースタイルって何?」を開発責任者に直撃!

この記事をまとめると

■新型ムーヴには人気グレードの「カスタム」が存在しない

■ユーザー層が変わってきたのが「カスタム」をなくした理由

■「カスタム」の代わりにオプションパーツで自分だけのムーヴを作り出せる

7代目ダイハツ・ムーヴ登場! でも「カスタム」が消えた?

 ついにフルモデルチェンジを果たしたダイハツの軽トールワゴン「ムーヴ」。新型に心躍らせたファンは多いはずだが、ひとつ気になったことがある。それは長年もうひとつの顔として親しまれてきた「カスタム」グレードが設定されていないことだ。

「ムーヴ カスタム」が誕生したのは1997年5月。当時の特別仕様車「エアロダウンカスタム」シリーズが好評を博し、専用グレードとして独立させたのが誕生のきっかけだ。角ばった2灯ヘッドライトに大型メッキグリルを組み合わせ、フェンダーやバンパー、ボンネットまで専用デザインを採用。

 さらに、4気筒ターボを搭載した「エアロダウンカスタムXX」も追加され、専用サスペンションでローダウンされたフォルムは「裏ムーヴ」と呼ばれ、派生グレードの枠を超えた人気車種となったのだ。

 以降、ムーヴが世代交代をするごとに「カスタム」も継続設定され、標準車とは異なるスポーティな方向性をもつモデルとして多くのファンを獲得してきた。

 しかし、今回の7代目ムーヴには「カスタム」が設定されていない。その理由を今回のムーヴを開発したダイハツ製品企画部チーフエンジニアの戸倉宏征さんに聞くと、ふたつの理由が挙げられた。

 まず、ダイハツのラインアップが非常に多様化しており、ミライース、タフト、ムーヴキャンバスなどが幅広いニーズをカバーしている。そのため、「カスタム」が担ってきた個性派市場が他のモデルに分散した形になっている。

 次に、ユーザー層の変化がある。かつては標準車とカスタム車で明確に好みがわかれていたが、現在「ムーヴ」は子育て世代を卒業したユーザー層が中心となり、標準車とカスタム車で棲みわけをする必要がなくなっている。そこで今回はムーヴをワンコンセプトで展開し、カスタム志向のユーザーには「アナザースタイル」という新しい提案で対応することにしたのだ。

新提案「アナザースタイル」で自分仕様の「ムーヴ」にカスタム

 今回新しく提案された「アナザースタイル」は、メーカーオプションとディーラーオプションを活用して、自分だけのムーヴを作るスタイルである。そのひとつがブラックカラーのパーツを中心とした「ダンディスポーツスタイル」だ。

もうひとつは都会的で上品なカッパーカラーのパーツを組み合わせた「ノーブルシックスタイル」。このように「アナザースタイル」は、標準色で用意された全13色のボディカラーの中から好きな色を選び、豊富に用意されたパーツを自在に組み合わせて自分だけのムーヴを作ることができる。これこそが新型ムーヴにおける「カスタム」の答えである。

「アナザースタイル」は時代にあったカスタムの方向性だが、それでも「ムーヴ カスタム」ファンにとっては専用グレードの登場に期待したいところだ。その可能性を戸倉さんに尋ねると「市場の声や顧客ニーズを見ながら柔軟に対応する方針」との答え。現時点で明言はされなかったものの、復活の余地は残されていると言えるだろう。

 2007年の登場以来、多彩な世代交代を重ねてきたムーヴ。その歴史のなかで「カスタム」は常にもうひとつの主役として輝いてきた。7代目でいったん姿を消したものの、新提案の「アナザースタイル」で個性を追求する流れに変化したにすぎない。専用グレードの復活があるかどうかは未知数だが、今後のバリエーション展開に期待したい。


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