トランプさん、こういうアメ車なら日本でもヒットするかも!? アメ車が馬鹿デカかった時代にコンパクトかつキュートなルックスで売れまくったナッシュ・メトロポリタン (2/2ページ)

キュートなスタイリングと裏腹に走りはクセ強!

 デザインやサイズ以外にもナッシュ・メトロポリタンはイギリスで生産されたアメ車、というレアなポイントがあります。これは、ナッシュが生産設備に対する資金力が低かったこと、当時のイギリスではエンジンやボディの分業も盛んで製造委託もしやすかったことが理由とされています。たしかに、ボディの金型ひとつとっても莫大な金額となるので、小規模メーカーのナッシュにとってはこれまたプラクティカルな選択といえるでしょう。

 生産はイギリスのBMC傘下のオースチンモーター社が担い、ボディはBMC傘下のフィッシャー&ラドロー社、1.2リッターの直4エンジンはオースチンA40ケンブリッジのBシリーズと、あらかた英国メイド。この際、わずかながらもBMCは右ハンドルの英国仕様を製造・販売していますが、アメリカほどの売れゆきはなかったようです。

 というのも、サイズはコンパクトながら、ナッシュはそこそこ装備もよかったために大衆車としては価格が高めだったことが災いしたと噂されています。ちなみに、価格はハードトップ1445ドル、コンバーチブル1469ドルで、同時期のフォード製フルサイズが1500ドル程度から買えたことを考えると、かなり強気な値付けといえるでしょう。

 ちなみに、パフォーマンスは最高速72mph(115.9km/h)、0-1/4マイル(402m)加速23.8秒と、必要にして十分なもので、燃費についても24時間連続走行での燃費測定が行われた結果、リッターあたり17.7km走ったとのこと。

 ですが、試乗した方が口をそろえていうのが「曲がらない」ということ(笑)。フロントはウイッシュボーン、リヤはリーフリジッドという組み合わせのサスペンションは、当時のイギリスではデフォルトっぽいもの。最小回転半径こそ明らかになっていませんが、どういうわけか「クセ強」なドライブフィールだったとか。

 ともあれ、そんなクセにしてもキュートなサイズやレトロ感のあるスタイリングと比べたら些細なこと。変わり種のアメ車と見過ごすには惜しい輝きのある1台、ナッシュ・メトロポリタンは、これからも歴史に残る「可愛いクルマ」であること間違いないでしょう。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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