この記事をまとめると
■フロントフォグランプは悪天候時の視界補助が本来の目的
■晴天時使用は違反ではないが眩しさで保安基準に抵触する可能性も
■ポジションとフォグのみの走行は無灯火扱いになり取り締まり対象になる
フォグランプの本来の意義と使い方をおさらい
新車として販売される乗用車のオートライトが義務化されてからすでに5年(2020年4月~)。ヘッドライトの点灯忘れは減ってきたが、フォグランプの使いかたは、相変わらず「?」となる機会が少なくない。
好天時のリヤフォグの使用は論外として、フロントフォグの使いかたは、結構まちまち。そこで基本をおさらいしておこう。
そもそもフロントフォグランプとは、保安基準で「前部霧灯」(ぜんぶむとう)と呼ばれていることからもわかるとおり、本来は雨、霧、雪などで視界が悪いとき、ヘッドライトの補助として使用するものだ。保安基準には、「自動車の前面には、前部霧灯を備えることができる」(第30条第1項)とだけ書かれているので、装着する義務もなければ、使い方についてもとくに指示は見当たらない。
霧のなかでフォグランプを点灯するクルマ画像はこちら
したがって、晴天時にフロントフォグランプを点灯していても、ただちに違反とはなりえない。
しかし、保安基準第30条には、「前部霧灯の照射光線は、他の交通を妨げないものであること」ともあるので、対向車から見てまぶしく見えるフォグランプがあったとしたら、それは法規に抵触する。たとえば、光軸が狂っているフォグランプ、あるいは幻惑光(グレア)が出ているフォグランプは、保安基準違反となり、当然車検もクリアできない。
また、日没後にヘッドライトを点けずにポジションランプとフォグランプだけで走っているクルマも見かけることがあるが、これは無灯火扱いになり、取り締まりの対象になるので要注意。
ポジションランプとフォグランプだけを点灯させているクルマ画像はこちら
フォグランプはヘッドライトと違い、霧が出たときでも乱反射しづらく、足もと、下方向を広く照らす特性があるわけだが、霧でもない好天の夜にフォグランプがないと不安だという人は、普段からかなり目線が近い可能性を疑ったほうがいいかもしれない。
まとめると、晴天時にフロントフォグランプを使用しても、法的には基本的に問題ないが、対向車や周囲への眩しさ、また不要な光による視認性などの問題を考えると、視界の悪い悪天候時に限って使用するのが無難だといえるだろう。