謎のコンセプト2.5ボックスセダン! バブル期に女性を狙った「オートザム・レビュー」は売れずとも愛すべき存在だった (2/2ページ)

クルマの出来はよかったが市場にリーチできず消滅

 もちろん、パッケージ的にも女性の心をつかむ要素はたくさんありました。まずデザインは、丸みを帯びていながら丸すぎず、スムースなボディ曲面に上品さがあります。それでいてアーモンド型のヘッドライトは思わず名前で呼びたくなるような親しみやすさを醸し出し、愛着のわく顔つき。

 ボディサイズは全長3800mm、全幅1655mm、全高1470mmで、小まわり性能が高いのに室内空間は広く、大人4人がゆったりと過ごせるほか、トランク容量も280リッターを確保するという実用性も両立。さらに、上級グレードには世界初の3ウェイ電動スライド式キャンバストップが採用されていたのです。

 パワートレインは76馬力の1.3リッターと88馬力の1.5リッターの直列4気筒16バルブSOHCユニットに、5速MTと4速ATが用意されていました。欧州では「マツダ121」として輸出されていたこともあって、足まわりにもこだわっており、サスペンションはフロントがストラット式、リヤがトーションビーム式とオーソドックスながら前後ともにスタビライザーを装着。欧州ではユニークなパッケージとともに高い評価を得た実績があります。

 ただし国内では、1990年に売れたクルマのトップ10を見てみると、カローラ、マークII、クラウン、カリーナ、コロナ、サニー、シビックとセダンのオンパレード。8位にファミリア、9位にスターレットとハッチバックがランクインしていますが、やはり2.5ボックスという謎のコンセプトはあまり響かなかったのでしょうか。残念ながら販売は徐々に低迷し、モデルチェンジにはいたらず1代限りで終わってしまったのでした。

 テレビCMでキョンキョンが「なかったと思う、こんなクルマ」といっていたように、たしかに当時は斬新だったのですが、その後2000年代以降にも、WiLL Viやティーダラティオのような2.5ボックスといえなくもないモデルが登場しているので、ちょっと生まれた時代が早すぎてしまった不遇の名車だったもかもしれないですね。


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まるも亜希子 MARUMO AKIKO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

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趣味
サプライズ、読書、ホームパーティ、神社仏閣めぐり
好きな有名人
松田聖子、原田マハ、チョコレートプラネット

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