ガルウイングのマイクロバスって……個人のヤンチャカスタムかと思ったらメーカーが作ってたの? 大マジでセレブに愛された「モークMSV」にやっぱりアメリカってスゲー! (2/2ページ)

熱狂的支持を受けるも約100台を生産して廃業

 また、サスペンションにGM製エアサスを流用するなど他車のパーツを上手にミックスしているところもモークの工夫といえるポイント。たとえば、ヘッドライトはフォードのエアfiロマックス(18輪トラック)テールライトはグランチェロキー、珍しいところではワイパーをトヨタ・エスティマからもってくるなど小規模メーカーならでは、といったところ。

 ところで、モークMSVの特徴であるガルウィングというかディヘドラル形式のフロントドアですが、採用の理由は明らかにされていません。ドアの開く角度が大きく、乗降性に優れるからという史家もいます。また、身体が不自由なオーナーによるレビューも「ハンディキャップをサポートしてくれる」となかなかの好評。見ればドア自体もそこそこ大きいので、たしかに乗り降りはしやすそう。これまた、アメリカの広さでないと逆に不便になりそうですけどね。

 当然のことながら装備は充実しており、デュアルクライメートコントロール、リバースカメラ、高精度ナビシステムなどがスタンダードとされ、オプションも豊富にラインアップ。インテリアにしても基本はカスタムオーダーながら、ソファ&テーブルの艤装をはじめ、電子レンジ、コーヒーメーカー、さらには身体ごと入れる浴槽なども標準装備!

 1台を製作するのに600時間ほどを要するとのことで、価格も20万ドル(約3200万円)からスタートと、いくらアメリカでも庶民の手が届くものではなさそうです。そこで有名人オーナーを探ってみると、元ヘビー級ボクサーのジョージ・フォアマンや、カントリー歌手のアラン・ジャクソンといった名前が上がり、いずれもゴージャスなインテリアを構築していることが伝えられています。

 残念ながらモークは1999年に100台あまりを生産したところで廃業。ですが、その多くが現役で走っているのだとか。モーク専門の中古車ショップやオークションサイトも存在し、3万ドルから8万ドル程度で流通している模様。やはり、個性的なクルマを作ると、ファンの数は多くなかろうとも熱狂的な支持を得るという好例でしょう。北海道あたりならどうにか使えそうなモークMSV、我こそはと思う勇者は手にいれてみてはいかがでしょう。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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