偉大なる初代をオマージュに再構成したスタイルが秀逸な4・7代目
ドイツモダニズム的アプローチの4代目
さて、初代の偉大さは当然として、歴代ではデザイン的に注目したいモデルがほかにもあって、そのひとつが1997年登場の4代目です。同時期は初代のアウディTTやA3など、VWグループは虚飾を廃したバウハウス的な造形アプローチをとっており、フェルディナント・ピエヒ会長主導で推進された高級化、高品質化がそれを支えました。
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キャラクターラインを廃したボディは、継ぎ目の少ない高い精度のパネルで覆われ、ドイツモダニズムともいえる超シンプルな佇まい。絞り込まれたミニマムなフロントや、ラインのないスッキリしたリヤパネルも含めて、歴代のなかでも独自の世界観を提示したのです。
そしてもう1台の注目車は、先代にあたる2012年登場の7代目です。ゴルフはどのモデルも初代で提示された「らしさ」を意識してスタイリングされていますが、当時VWグループのデザインを統括していたワルター・デ・シルバがまとめた7代目は、とりわけ初代の「再解釈」を感じさせるモデルです。
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たとえば、秀作である先代ポロに似た一体感をもつヘッドライトとグリルの関係、吟味された繊細なキャラクターライン、余計な要素を廃したリヤピラー、キャラクターラインと同じ高さに引かれたリヤパネルのラインやそのラインにグラフィックを合わせたテールランプなどなど。
いずれの造形も初代の構成要素をあらためて検証・再構築し、新しいプラットフォームによるグッドプロポーションでまとめたもので、2013年のグッドデザイン・ベスト100に選ばれたことにも納得です。
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さて、50年以上の間、基本造形を変えずに進化を続けるクルマとしてはポルシェの911がありますが、同車に比べるとゴルフはそれぞれの時代性を柔軟に取り入れているといえます。その点、今後も常に新しい提案を楽しむことができるのかもしれませんね。