トヨタが作ったってマジか! トヨタのFFコンパクト「アイゴ」にMR-Sのエンジンをミッドシップに積んだ「アイゴ・クレイジー」は魔改造にもほどがある (2/2ページ)

走りは痛快そのもの!

 最高出力200馬力/6700rpm、最大トルク240Nm/3400rpmはノーマルの68馬力/93Nmとは比べるべくもないもの。そして、ヘリックス社の強化クラッチと5速マニュアルを介して、最高速度127mph(約204km/h)、0-62mph(約99.7km/h)加速5.75秒と、なかなかのパフォーマンスを披露したのでした。

 ミッドシップ化したことで、重心や動的バランスなどが変わるため、サスペンションも変更されています。フロントは形式こそマクファーソンストラットながら、ダンパーセッティングを大幅に変更。また、リヤはノーマルのトーションビームからリンクをダブルで追加したマクファーソンストラットにすることで路面追従性の向上を狙った模様。ちなみに、ダンパーはテイン製と公式にアナウンスされています。

 インテリアもクレイジーなトリミングがなされ、6点式ロールケージ、フルバケットシート、6点式シートベルトなど、おおよそレーシングカーと等しい装備。また、ノーマル車には標準でタコメーターが装備されないため、クレイジーにはしっかり追加されています。もっとも、いまでは流行らないのかブーストメーターなり、コーションランプといったデバイスは未装着。そこまでガチではない、ということでしょうか。

 なお、エンジンがいなくなったフロントフード下ですが、移設されたガソリンタンクや居残ったバッテリーのおかげで荷物スペースにはなり得ません。サーキット走るだけなら、たしかに不要かもしれませんが、イギリス・トヨタはしっかり公道走行できるようにナンバー登録を実施(笑)。こういった大人の遊び心、好きな方も大勢いることでしょうが、残念ながらアイゴ・クレイジーは1台限り。ボディキットだけでも! という声も多かったそうですが、一切の販売はありませんでした。

 アイゴ・クレイジーがお披露目された当初は、「イギリス・トヨタがラリー選手権のレギュレーション変更を先読みしたか」などと勘繰られたものですが、どうやら担当エンジニアたちが純粋にアイゴのカスタムをしてみたかった様子。こうしたモチベーションを大メーカーで発揮したこと、クルマ好きとしては拍手を送りたいものですね!


この記事の画像ギャラリー

石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

文筆業

愛車
三菱パジェロミニ/ビューエルXB12R/KTM 690SMC
趣味
DJ(DJ Bassy名義で活動中)/バイク(コースデビューしてコケまくり)
好きな有名人
マルチェロ・マストロヤンニ/ジャコ・パストリアス/岩城滉一

新着情報