この記事をまとめると
■高回転まで回す運転はエンジンに悪影響と誤解されがち
■実際のところはカーボン除去やパーツの馴染みに効果があるとされる
■長く好調を維持するには「たまの高回転」が重要となる
低回転キープはじつは逆効果
クルマの心臓部とも呼ばれるエンジン(BEVを除く)は細かな部品の集合体でもあり、内部でトラブルでも発生しようものならかなりの修理費を覚悟しなければならない。
また、なかには量産モデルよりも厳しい基準を設けて部品の重量バランスを考慮したものや、熟練の職人による仕上げを受けたような特別なエンジンが搭載されているモデルも存在し、それらはクルマ好きであれば大切にしたいエンジンといえるだろう。
高精度に組み上げられたエンジンのイメージ画像はこちら
ただ、あまりにエンジンを大切にするがあまり、高回転まで回すことをせず早め早めのシフトアップをしているという人はいないだろうか。
たしかにエンジンを高回転まで回すと、どんなに精密に組み上げられたエンジンであっても音や振動が大きくなり、エンジンには優しくない環境となっているようにも感じられる。しかし、エンジンは定期的にしっかり回してやることが必要という意見もある。はたして実際のところはどうなのだろうか。
まず、エンジンを高回転まで回すことについてだが、定期的なメンテナンスがしっかりなされているのであれば、タコメーター上に示してある「レッドゾーン」まで回したところでエンジンが壊れてしまうということはないといえる。
レッドゾーンのイメージ画像はこちら
そもそもレッドゾーンはそのエンジンがもつ「許容回転数」の上限となるので、レッドゾーン以下でエンジンを使うことは許容範囲内なのである。
では、高回転まで定期的に回したほうがいいという点だが、これは正しいといっていいだろう。高回転までエンジンをまわしてやることで、エンジン内部に付着したカーボンデポジットと呼ばれる汚れが十分な熱や排気の勢いで排出されるのだ。
カーボンデポジットのイメージ画像はこちら
逆に、低回転を多く使用していると、十分な熱と排気の勢いを得ることができず、カーボンデポジットは溜まる一方で、最悪の場合エンジン不調を招いてしまう。そのため、MT車などで極端に低い回転のままシフトアップをしていくような運転は逆にクルマに優しくないとえるのである。
また、冒頭でも述べたようにエンジンは細かな部品の集合体であるため、定期的に高回転まで回してあげることでエンジンに「当たり」が付くようになり、スムースに高回転まで回ってくれるエンジンに育て上げることができるのもポイントだ。
そういったことも考えると、エンジンを長く好調に維持したいのであれば、常に低回転をキープするよりも定期的に高回転まで回してあげることが必要といえるのだ。