超豪華講師陣にサーキット全開からドリフト体験までのフルコース! 35万円が激安に感じられる「AMG Experience on Track」を体験してみた (2/3ページ)

AMGはやっぱり凄かった

 場所は変わって試乗場所は、富士スピードウェイのショートコース。ここでは特設コースを設置し、「パイロンスラロームや急制動」の体験をする。

 目の前に並ぶのは、逆立ちしても手に入らないモンスターばかり。ここでは、「Mercedes-AMG GT 43 Coupé」と、「Mercedes-AMG E53 HYBRID 4MATIC+(PHEV)」の2台が相棒だ。

 前者はこの図体に対して2リッター直4ターボエンジンを搭載するモデル。最高出力は控えめ(?)な412馬力を発揮。通常はV8エンジンが搭載されるので、相当ノーズが軽いと思われる。後者は直6ツインターボエンジンを搭載するモデル。それにPHEVのモーターが加わりトータルの出力は612馬力! 見た目はちょっと大きいくらいのセダンだが、中身はバケモノ。

 コースは富士スピードウェイのショートコースのバックストレートを使い、指定のスタートラインから全開で100mほど走り、そこからフルブレーキ。目の前にあるパイロンをかわすといった内容だ。

 ここでのインストラクターはお馴染みの中谷氏で、「皆さんにAMGの凄さを知ってもらうにはいいコースレイアウトで、一般のお客さんもほぼ同じような感じのものを体験します。ただ、TRC(トラクションコントロール)はオフにしないでください」と説明。

 では早速、AMG GT 43から試す。もちろん初めて乗るのだが、最初は、「この図体で直4……笑」とか思ってたがすみません。これがとんでもない加速をする。たった100m前後のストレートだが、メーターはすぐ100km/h手前くらいを表示。あっという間にブレーキポイントだ。

 で、ドカンと蹴っ飛ばすように踏むのだが……「え、止まっちゃうよ?」ってくらいバチンと止まる。そこからブレーキをリリースして左へ右へとパイロンをかわすのだが(飛び出してきた動物を避けるイメージ)、この全長4730mmのながーい車体が、コンパクトカーのような身のこなし方をする。エンジンが軽量な4発という点が利いてそうだ。あまりにもスムースに呆気なくクリアするので、感覚的にはブレーキからコーナリングまでの瞬間だけ、クルマが小さくなったような感覚。もちろん挙動は一切乱さない。「こんなの絶対クラッシュしないじゃん」と、妙な自信がつくほど。

 その後、同じ車両とコースで3本ほど走ったが、まあ安定したパフォーマンスでブレない。あまりにも制動距離が短いので、物理の法則を無視してるような感覚だ。ちなみに車両重量は1790kgとこれまた意外と軽い。この見た目でこの軽さ。ライトウエイトスポーツ好きとしてはクセになる。

 次に乗り換えたE53 HYBRID 4MATIC+も同じコースを走るのだが、こっちはちょっとヤバいくらいの加速力を発揮。それはそれは、踏み込んだ瞬間、「ウォ……」なんて声が出るほど。エンジンとモーターによって発生する600馬力オーバーは、ちょっとした兵器。見た目こそデカいセダンだが、この加速はまさに暴力そのもの。公道に放っていいレベルをゆうに超えている。

 で、ブレーキも思わずニヤけるほどの性能を見せつける。このモデル、重さが2390kgとかなりあるのだが、ギューっと止まる。もちろん余裕で。で、左に右とAMG GTと同じようにクリアする。重さはさすがに感じるが、ステアリングフィールは1500kg級のクルマとそう変わらない。パイロンをクリアしたあとの立ち上がり加速も異次元。轟音とともに駆け抜ける。

 しかしこのE53の心臓部、じつにいいエンジンだ。「E53だのC63だのは、やっぱV6やらV8が鉄板でしょ」と、にわかながらに思っていたが、この直6は凄く性に合う。直6が完全バランスだのなんだいわれているのは知っているが、このクルマ、パワー感もブレーキバランスもステアリングフィールもじつに高次元にある(と、素人ながら感じる)。大金もちなら、この場で「帰りにこれ買うわ」なんていってみたいもの。

 勝手な想像だが、重いエンジンに重いバッテリーが、いい具合に前後重量配分を調整していると思う。なので、ブレーキングでも姿勢が乱れないし、切り込んでもスパッと入っていく。評論家気取りの意見を述べるとボロが出るのでこれ以上語らないが、シンプルに気に入った。どっちを買うかといわれたら、筆者は後者を選ぶ。

 中谷氏も、「これ凄いよな。ブレーキがよすぎて手前で止まっちゃうよ(笑)。おかしいよ……」なんて語りかけてきた。そのとおりでございます。


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WEB CARTOP 井上悠大 INOUE YUTAI

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