ユニークな機構をもつも日本では不発に……
【エレメント】2003年4月16日正式発表
思えばこのころのホンダは、ノリにノっていたのかもしれない。2代目オデッセイ、初代ストリーム、2代目ステップワゴン、そして初代フィットと、いずれもヒット作となり、少なくとも日本国内では売るクルマに困らない状態だった。
北米ではこれらのモデルは販売されていないため、様相はまったく異なっていたと思われるが、それでもそんな好調ぶりが海の向こうにも波及していたのではないかと思わせるほど、ハッピーなクルマが北米主導で開発され、2002年より北米で生産開始。日本でも2003年4月に発売される。それがエレメントだ。
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基本的なメカニズムは、日本では2001年9月に発売された2代目CR-Vをベースとしていたが、そのキャラクターは大きく異なる。
CR-VはごくオーソドックスなSUVらしい曲面基調のエクステリアと、乗員の快適性を重視したインテリアを備えていた。
これに対しエレメントは、両側Bピラーレスボディ&観音開きドア&上下分割バックドアを採用し、無塗装樹脂を多用したスクエアなエクステリア、そして汚れに強いフラットな防水フロア&シート表皮を特徴とする、アウトドアレジャーに特化した設計だった。
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そんなエレメントの開発コンセプトは「エンドレスサマー」。そしてデザインモチーフは、ライフセーバーがスイマーやサーファーを見守る小屋「ライフガードステーション」。後席を左右に跳ね上げ助手席を倒せば10フィートのロングサーフボードを積載できるよう設計されており、もちろんそれ以外の用途でも使い勝手は抜群だった。
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しかしながら、この余りに個性的すぎるスタイルと構造が仇となり、CR-Vに対し割高な価格設定に。しかも、わかりやすい上質さを備えていたCR-Vに対し、汚れに強い無塗装樹脂外板や防水フロア&シート表皮などの見た目が安っぽかったこともマイナスに受け取られてしまった。
その結果、日本では2005年12月、わずか3年弱で販売を終了する。だが北米ではヒットし、その後も2011年モデルまで生産・販売が続けられるロングセラーモデルとなった。
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