さすが個性全開の国フランス! 歴代大統領の乗る「公用車」も日本じゃ考えられないラインアップだった (2/2ページ)

公用車にはそれぞれの大統領の好みが反映されることも

シトロエンDS19/DS21 プレジデンシャル

 そして、ド・ゴール大統領は、アルジェリア独立反対派(OAS)による襲撃の際は防弾仕様のDS19に乗っていました。車体には20発の弾痕が残されたほか、頭上スレスレに貫通した弾もあったとか。

 それでも、大統領と夫人、また運転主や同乗者にケガがなかっただけでなく、後輪をパンクさせながらもDS19は逃げ切ったとのこと。FFだったからという説が濃厚ですが、たびたび暗殺が企てられ、そのたびに逃げおうせたド・ゴール大統領の強運も役立っていたはず。

 その後、ド・ゴール大統領はアメリカの大統領専用リンカーンを見て「シトロエンをあれくらい立派に作ってよ」とDS21をベースとしたストレッチリムジンを製作。これまたアンリ・シャプロンの手によるカスタムで、全長6530mmに至るビッグサイズとなっています。

 が、リヤシートと運転席を仕切る窓が固定式だったことが大統領の癪にさわり、使用機会はさほど多くなかったと史家は書き残しています。

DS7 クロスバック

 マクロン現大統領が初当選の際、パレードで用いたのがDS7クロスバックでした。ご覧のとおりオープン化やストレッチといった見た目で分かるカスタマイズはなく、大きく開いたサンルーフをフル活用。

 先代のオランド大統領もまた就任式はDS7を使用しており、いつの間にか大統領のクルマはDSになったのかと思いきや、マクロン大統領はプジョー5008というSUVも愛用中。防弾仕様かどうかはともかく、外観はストックと変わらないもの。

 だいたい庶民の味方を印象付けたいマクロン大統領としては、歴代の専用車のような特別仕様はなるべく避けたかったのかもしれません。が、クルマ好きとしてはいささか拍子抜け。せっかくDSナンバー8なんてプロポーザルモデルもあるわけですから、世界中のトップが羨むようなカッコいい専用車に乗るのも悪くないアイディアではないでしょうか。


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石橋 寛 ISHIBASHI HIROSHI

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