この記事をまとめると
■7代目ムーヴのエクステリアデザイン担当者にインタビューした
■新型ムーヴは素直にカッコいいと感じられるデザインを追求
■上質感を表現するためにブラウンの「グレースブラウンクリスタルマイカ」を打ち出した
7代目ムーヴのエクステリアの注目すべきポイントは?
6月5日に発売された7代目のムーヴは、スライドドアの採用や標準・カスタムを一本化したボディが大きな話題になっています。では、そのデザインの意図はどこにあるのか? 今回はエクステリアデザインを担当した川合氏と、車両開発を担当した益田氏のおふたりにインタビューをお願いしました。
デザイン部プロダクトクリエイト室主任の川合徳明さん(写真右)と開発部車両開発室の益田和佳さん(写真左)画像はこちら
素直にカッコいいと感じられるデザインを追求する
──では最初に。新型のデザインコンセプトは「動く姿が美しい、端正で凛々しいデザイン」ですが、なぜいま「端正」で「凛々しい」を掲げたのでしょうか?
「これまでムーヴが支持されて来たのは走りと実用性のバランスのよさですが、ターゲット層が子育て世代から子離れ世代に移るなかでもそれは継承したいと考えました。この子離れ世代を深堀りすると、バブル時代を経験したことで「クルマはスポーティでカッコいいもの」という印象をもっている。つまり、無難なバランスでムーヴを選んだのではなく、指名買いだったんですね。そこで、素直にカッコいいという意味で端正、凛々しさを打ち出したワケです」
──新型は標準とカスタムという2通りの展開を止めましたが、それはデザインにどういった影響を与えたのでしょう?
「新型は企画段階から1本にすることが決まっていたのですが、L、Xグレードをベースデザインと考え、G、RSをより上質なグレードと捉えることでニーズに対応することとしました。たとえばLEDのヘッドライトやグリルのガーニッシュなど、とくに顔まわりで印象の違いを出しています」
ダイハツ・ムーヴの真正面フロントスタイリング画像はこちら
──新型はムーヴキャンバスがベースですが、Aピラーを同車より寝かせたと聞きましたが……
「そうですね。当初はキャンバスベースでモデルまで作成したのですが、これは違うと(笑)。新型はバックドアがより立っていることもあり、タントに近いような、動きが止まったスタイルになってしまったんです。そこで乗降性や視界を妨げない範囲でAピラーを寝かせました」
──では、各部分について伺います。X字型に要素を切りわけたフロントは他社でも見られる手法ですが、単純な形状により顔の表情が乏しくなることはありませんでしたか?
「新型はヘッドライトとグリルをシームレスに一体化していますが、こうしたシンプルな表情はトレンドでもあり、なるべく要素はまとめたかった。ただ、単に一体化すると顔が厚く見えてしまうので、ボディ色の「浮島」を加え横方向への流れを作っています。また、左右の三角形のガーニッシュはたしかに「空き地」にハマる造形ですが、じつは三角形の頂点を上下で微妙にズラすことで、何となく目に止まるポイントとしています。これによって、ロワグリルの台形がアッパーグリルを支えている構造にも見えるんですよ」
「堅実スライドドアワゴン」という商品コンセプトのもと描いていた初期スケッチ画像はこちら