特別な価値観をあたえる車名として大切に使われている
マツダのGT-Rたち
マツダは2代目サバンナRX-7=FC3Sと、7代目ファミリア(BG型)に「GT-R」を設定。
初代のハコスカGT-Rと、初代のサバンナRX-3は強力なライバル関係にあり、ハコスカGT-Rのレースでの50連勝記録を阻止し、49連勝でストップをかけたのがマツダのサバンナ。そのサバンナの正統後継車であるFC3Sがデビューしたのは1985年で、日産の第2世代GT-R(R32)が復活する4年前。FC3Sの走りの最上級モデルはGT-Xと名付けられ、GT-Rはベーシックグレードの名称だったところに因縁の深さを感じさせる。
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さらにいえば、R32GT-Rの開発中の社内呼称は「GT-X」だった! 両社が両車を意識していたのはほぼ間違いないだろう。
もう一台のBGファミリアは、コンパクトなボディにDOHCターボ+フルタイム4WDというパッケージで、ラリー界でのハイパー4WDの先駆けとなったモデル。輸出名は「323GT-X」でWRCでも大活躍した。そのファミリアの戦闘力をさらに高めるために、ターボチャージャーを大型化し、インタークーラーを前置きにして210馬力にパワーアップしたホモロゲート・ミートバーションとして投入されたのが「GT-R」。
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こちらはGT-Rの名にふさわしく(?)、文句なしの最強モデルで、3連パワーバルジのエンジンフードと、大型フォグのついた専用バンパーが特徴だった。
海外のGT-Rたち
国産車以外のGT-Rとなると、マクラーレンF1 GTRが有名。1988年、セナ・プロストのコンビで16戦15勝の記録を達成した名車マクラーレンMP4/4のデザイナー、奇才ゴードン・マレーが、世界最高のロードカーを目指して開発したのがマクラーレンF1で、そのレーシングモデルがGTR。ルマン24時間レースでも優勝している(1995年 日本の関谷正徳もドライブ)。マクラーレンではほかにも、「P1」や「セナ」のレース仕様にも「GTR」の名前が与えられた。
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それから、メルセデス・ベンツCLK-GTRもスペシャルな一台。メルセデス・ベンツとAMGがFIA GT選手権参戦用に開発したモデルだが、ロードカーも25台製作され、1999年に約2億5000万円で販売された。
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また、BMWのM3にもGT-Rがあった。AMLS(アメリカン・ル・マン・シリーズ)にレース参戦するために、E46のM3をベースに10台限定でヨーロッパで発売された、ホモロゲート ミートバージョン。ドライサンプの4リッターV型8気筒エンジン(387馬力)を積んで、外装品にはカーボンを多用。約2700万円だった。
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その他、ランボルギーニ ディアブロのワンメイクレース用のモデルだった、ランボルギーニ ディアブロGTR(30台限定)なども知られている。
いずれの「GT-R」も(FC3Sを除いて)、ベース車よりもハイパフォーマンスなモデルで、特別感を出すために「GT-R」の名前を使っていることがよくわかる。
スポーティかつラグジュアリーな長距離ドライブに適したクルマ=「GT」(グランツーリスモ)に、レーシングの頭文字「R」を加えただけなのに、特別な価値観をあたえる「GT-R」。世界共通で大事にしていることがわかる3文字だ。