欧州に勝つべく生まれたシボレー・コルベットSS! オークションの11億円での落札も中身を知れば高くない!? (2/2ページ)

11億円超もの価格はバーゲンプライス?

 フロントに搭載されたエンジンは283立方インチ、リッター換算では約4.6リッターの排気量をもつV型8気筒OHV。ラムジェットフューエルインジェクションによる燃料供給を受け、最高出力で300馬力というから、1立方インチあたり1馬力を超えるハイ・チューニングを実現している。

 このエンジンには、アルミニウム製の軽量なケースを採用することで重量をわずか65ポンド(約29.5kg)に抑えたシンクロメッシュ機構付きの4速MTが組み合わされた。

 レース用として製作されたコルベットSSは、1957年のセブリング12時間に参戦。ドライバーはジョン・フィッチとキャロル・シェルビーである。このレースでは残念ながらシャシーのトラブルによりリタイヤという結果に終わり、コルベットSSはその後レースシーンに姿を現すことなく、さまざまなイベントでプロモーション用として使用されたあと、前で触れたとおりインディアナポリスモータースピードウェイ博物館で保管されることになった。

 プロトタイプを含めてもわずかに2台、しかもそのなかで唯一レースの実戦に投入されたヒストリーをもつ、コルベットSS。それがいかに貴重な歴史的遺産であるのかは、この概略からも十分に理解していただけたと思う。

 SS(スーパー・スポーツ)の称号は、その後シボレーの高性能モデルに使用され、それらはさまざまな時代でファンを魅了し続けることになる。アメリカンスポーツカーの象徴ともいえるコルベット。そのヒストリーの始まりにあったレーシングカーのバリューは、もしかすると770万5000ドルという今回の落札価格以上であった可能性も、十分に高いといえるのかもしれない。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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