MiTACのホンキを目の当たりに さて、台湾を代表する一大企業であるMiTACが展開する「MiO」だが、いったいどのようにしてこれらの製品が生み出されているのだろうか。今回のツアーで特別にその一部を目にすることができた。
我々が訪れたのは、MiTACデジタルテクノロジーの研究開発拠点。ここでは、「MiO」ブランドのドライブレコーダーをはじめ、さまざまな製品の開発やテストを行なっている。
今回見学したのは、そのうちの認証試験工程だ。いまほど台湾の製品が世界的に認知される遥か昔の約20年前から稼働しており、5億円以上の設備投資をして作られているという。順に見ていこう。
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まず、ドライブレコーダーに限らずだが、デジタル機器からはさまざまな電磁波が発生している。人体への影響はほぼないが、この電磁波がクルマにもさまざまな影響を与える。もし先進安全装備などに影響したら一大事だ。そういった電磁波が発せられていないかを確認するための、EMC(Electro Magnetic Compatibility[電磁両立性])設備を研究開発拠点では完備している。そのほかにも、静電気が発生した際に、機械が正しく作動するかなどもチェックする工程も完備する。
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また、電子機器からはさまざまなノイズが発生するが、そのノイズがどのような影響を機器に与えるのか、出ていても問題がないかなどを確認する、EDVCという音響設備も「MiO」の開発工程には存在する。
この音響設備は、さまざまな音を徹底的に吸音する特殊な構造で、機器から発生する些細なノイズも検知し、問題がないかどうかをここで徹底して確認するとのこと。
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ドライブレコーダーには欠かせないカメラ機能も、「MiO」ブランドでは徹底的にチェックする。屋外で発生するさまざまな光源を人工的に再現し、色温度やホワイトバランスを調整する。
ここで用いられるテストは、ソニーやGoogle、ツァイスやインテルなども採用しているものとなっている。なお、北半球と南半球で色の出方が変わるそうで、そういった仕向地別のセッティングもここでテストされる。
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ドライブレコーダーは”万が一”の際を記録する重要なアイテムである。よって、ダメージを受けたときに「撮れてませんでした」では済まされないし意味がない。
そんな有事に備えて「MiO」の製品では、落下テストや耐衝撃テスト、耐水試験なども行い、”万が一”の際でも機能するよう開発されている点も見逃せない。なかなかないであろう、塩害テストまで行なっているほどだ。衝撃に対する検査も1.5万〜2.5万回実施し、ボタンやマイクロSDカードのスロットも4000回以上の操作テストを行うそうだ。
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日本では、「台湾製=安物」なんてイメージを持つ人も少なくないと思うが、製品作りはとにかく”超”真面目。「日本のメーカーでもここまでやっていないのでは?」と思われるほどの本気っぷり。ドライブレコーダー相手に、もはや過剰とも言える次元だ。
台湾国民でも、「MiO」製品がここまでの工程を経て誕生していることを知る人は少ないだろうが、カー用品店のスタッフの「圧倒的な信頼性がある」というひと言を裏付ける瞬間であった。そのほか、「MiO」ではとある自動車メーカーの純正OPのドライブレコーダーなどのOEM製品も手がけている。ラボ内には、我々が目にする日本ブランドのWEBカメラ(ドライブレコーダーではない)も準備されていた。
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とはいえ、どうして年商13兆円もの売り上げを誇る台湾きっての一大企業がドライブレコーダーという、規模としては狭いカテゴリーに参入するのか。
MiTACデジタルテクノロジーで社長を務めるスティーブ・チャン氏は、「ドライブレコーダーは我々のビジネスにおいて重要なアイテムではあるが、その先にある『スマートテレマティクス(物流などの現場における車両の運行管理や走行データの収集など)』の分野における製品、技術開発においても有利に働くので、そういったジャンルで活躍するための要素のひとつとして、ドライブレコーダーは欠かせない要素です。我々は本気で日々ドライブレコーダーを開発しているので、その技術力がアドバンテージとなる日がこのデジタル時代、必ず来るはずです」と語った。
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で、ここまでの間で、「とにかく凄いんだぞ」と推した「MiO」のドライブレコーダーだが、「そうは言っても日本で売ってるのかよ?」となると思うが、そこはご安心あれ。ちゃんと販売されている。
日本ではまず、主にバイク関係の用品を広く扱う「デイトナ」より、バイク用のドライブレコーダーが2019年に上陸。ヘルメットにつけられるタイプが人気だという。
そして今回の主役であるクルマ用。これは、2024年から日本での取り扱いがスタートしている。日本では、前方録画のみのシンプルなモノから、4K録画対応モデル、Wi-Fi搭載モデル、GPS採用モデル、前後録画+ミラー型ドライブレコーダーといったハイエンドモデルなど、全8種類を展開。どんな需要にも確実に応える製品ラインアップだ。もちろん日本の企業が代理店となっているので、アフターサービスも万全。
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※画像は台湾での販売モデル
台湾発の「MiO」は、日本市場に参入してからまだまだ日が浅いだけに、認知度こそ低いが、今後、間違いなく日本のドライブレコーダー市場に大きな影響力を与えるブランドになるはずだ。そして、ドライブレコーダーを次回購入する際は、ぜひ候補の1台に加えてみてほしい。きっと満足するはずだ。
日本におけるドライブレコーダー市場の風雲児「MiO」、覚えておくように!