ジープらしい走りと電動化の療法を楽しめる
そして、最大のハイライトとなるのが、48Vマイルドハイブリッドシステムだ。
新開発の1.5リッター直噴ターボエンジンは最高出力131馬力、最大トルクは240Nmとなるのだが、最大トルクを1500回転で発生するため、日常生活での実用性は十分。そのエンジンに7速デュアルクラッチトランスミッション(7速DCT)が組み合わさることで、軽快な走りを生み出している。

ポイントになるのが、48Vマイルドハイブリッド用のモーターが7速DCTに組み込まれているところだ。最大出力15kW(20馬力)/55Nm、定格出力8kW(11馬力)のモーターがエンジンの有無にかかわらずアシストできるため、モーターのみでの走行も可能。その恩恵で燃費はWLTCモードで17.7km/Lを実現している。ただし、モーターだけで何kmも走れるわけではなく、回生ブレーキで貯めた電力に依存し、体感的には数百メートル程度だろう。走り出しや低回転時のアシストとして活躍する、と捉えておくほうが正解だ。
メーカー発表では時速約20kmまでモーター走行が可能とされているが、バッテリー残量が十分にあり、エアコンを弱めに設定すれば35km/hほどまでモーターで加速することもできた。さらに、高速走行中でもあまりパワーを必要としないシーンではエンジンがカットオフされ、モーター走行が可能だった。ただし、速度を保つレベルにとどまり、加速時にはエンジンが始動することを覚えておきたい。

バッテリー残量はメーター左下にゲージ表示され、ハイブリッドシステムの作動状況はメインタッチパネルでも確認可能だ。パーキングブレーキ横の「e Auto off」スイッチを押すことで、完全なモーター走行を抑制し、早朝や深夜の入出庫時に合わせてバッテリーを充電させることもできる。

ジープらしく、ちょっとしたオフロードシーンでも走らせてみた。砂利道や勾配ではモーターの初動の力強さとリニアさが楽しく、突き上げ感も少なく非常に乗り心地がいい。車高も十分だが、あくまでFFであることを忘れずに、過信しすぎないことが大切だ。家族や友人とちょっとしたキャンプに行くなら十分なパフォーマンスを発揮してくれるだろう。

レネゲード e-HYBRIDは、伝統と進化が見事に融合したコンパクトSUVだ。ジープらしいデザインに、DCTに組み込まれたハイブリッドシステムが環境性能と日常性を高め、都市でもアウトドアでも使い勝手のいい一台に仕上がっている。走り出しのスムースさや高速道路での静粛性の高さも好印象で、新たなジープの魅力を体験できる一台だ。ぜひ新時代のジープを体験してみてほしい。
