ピニンファリーナデザインの「らしくない」ロールス・ロイス! 「カマルグ」の美しさがハンパない (2/2ページ)

ハイエンドなイギリス車の世界観を楽しむのにふさわしい1台

 贅を極めた内装はこれもまた時間の流れを感じさせない仕上がりだ。使用されるレザーとウッドの両素材は、これもまた最高品質のもので、装備も前席に採用された8ウェイのパワーアジャスト機能を始め、2ゾーンでの温度調節が可能なフルオートエアコンやパワーウインドウ、そして高級オーディオ等々、これもまた素晴らしいメニューが用意された。

 搭載されるエンジンは、6.75リッターのV型8気筒OHV。当時のロールス・ロイスは最高出力値を発表することはなかったが、車重が2トンを、また全長は5mを大きく超える堂々たる体格のカマルグを、3速ATとの組み合わせで加速するに十分な性能が与えられていたことは確かだ。

 カマルグはその生産期間中に529台が出荷されたが、途中で積極的なマイナーチェンジも施されている。1977年にはパワーステアリングがラックアンドピニオン式に変更され、リヤサスペンションも1979年に同じセミトレーリングアーム形式ながら、最新のシルバースピリットのそれに共通する仕様に変更。これらの改良策はいずれも高速走行時やコーナリング時の安定性を向上させるために大きく貢献し、結果パーソナルクーペとしてのカマルグの魅力はさらに高められることになった。

 カマルグには、コーニッシュで設定されていたドロップヘッドクーペ仕様は存在しないが、他社によるコンバージョンモデルは数多く製作されている。とはいえここ最近のオークションシーンを見ると、やはり人気はオリジナルのクーペボディのほうが高いようにも感じられる。

 いま、その存在が再び見直され始めているカマルグ。ハイエンドなイギリス車の世界を楽しむには、これもまた粋なチョイスといえるのではないだろうか。そのためには、まずはコンディションのよい売り物を探す必要があるのだが。


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山崎元裕 YAMAZAKI MOTOHIRO

AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員 /WCOTY(世界カーオブザイヤー)選考委員/ボッシュ・CDR(クラッシュ・データー・リトリーバル)

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