世界中の王族から宮内庁まで愛用の唯一無二の超高級車! ロールスロイスのオープンモデル「ドロップヘッドクーペ」を振り返る (1/2ページ)

この記事をまとめると

ロールスロイスのオープンモデルを紹介

■同社ではオープンモデルのことを「ドロップヘッドクーペ」と呼ぶ

■現在は「ドーン」というモデル名で生産が続けられている

ロールスロイスのオープンモデルの歴史

 超高級車メーカーとしてクルマ好きはもちろん、自動車に興味がない人にもおなじみのロールスロイス。同社のモデルとしては、ファントムやゴーストなどのセダンをイメージする人が多いでしょうが、クーペやオープントップモデルも数多くラインアップしてきました。

 今回はロールスロイスが「ドロップヘッドクーペ」と呼ぶ、歴代オープントップモデルを紹介していきましょう。

コーニッシュ(コーニッシュⅠ〜Ⅳ:1971〜1996年)

 多くの人がロールス・ロイスのオープンカーと聞かれてイメージするのはコーニッシュではないでしょうか。

 コーニッシュの成り立ちは4ドアセダンのシルバーシャドウをベースにクーペボディ化したモデル。1967年に「シルバーシャドウ・マリナー(ミュリナー)・パークウォード製ドロップヘッドクーペ」としてデビューしましたが、1971年にコーニッシュと車名が変更されました。

 そもそもの車名通り、同車の生産はコーチビルダーであるマリナー(ミュリナー)・パークウォードが担当。当時は同じグループだったベントレーでも販売されています。

 外観はベースとなったシルバーシャドウに似ていますが、クーペらしい端正なフォルム。また、シルバーシャドウより製作時間をほぼ2倍かけるなど、熟練の工員がアルミパネルを叩いて仕上げるなど、1台1台がハンドメイドで組み立てられていました。

 コーニッシュはオープンモデル(正式名称はドロップヘッドクーペ)とともに、当初はクーペ(正式名称はスポーツサルーン)もラインアップ。ただし、クーペは1982年にラインアップ落ちしています。

 同車のパワーユニットは6.75リッター(6747cc)V8OHVエンジンを搭載。このエンジンにGM製の3速ATを組み合わせました。

 少量生産のパーソナルモデルだったコーニッシュですが、デビュー後、数々の改良が加えられていきます(改良後のモデルをコーニッシュII、コーニッシュIII、コーニッシュIVと表記することもあります)。

 1975年にベースとなったシルバーシャドウが「シルバーシャドウII」へモデルチェンジしたことにより、同車のステアリングシステムや空調システムなどを採用するマイナーチェンジを実施。

 その後、シートやダッシュボードの変更、エアバッグの装備、製造工場の変更などを経て、1995年にはターボエンジンが搭載されたコーニッシュSが登場。同車がコーニッシュとしては最後のモデルとなりました。

 コーニッシュといえば日本でも知名度が高いモデルですが、その名が大きく知れ渡ったのが2018年の新聞報道。「即位の礼」や「結婚の儀」のパレードに使用された宮内庁所有のコーニッシュが走行不能になっているとのニュースです。

※写真は市販のコーニッシュII

 その後、現在までにコーニッシュがどうなったかの続報は入っていませんが、皇族が使用するほど格式が高いクルマであることが日本中に知れわたりました。

コーニッシュ(コーニッシュⅤ:2000〜2003年)

 コーニッシュの名が途絶えて約4年後に登場した新世代コーニッシュ。とはいえ同車は謎が多いクルマでした。

 4ドアセダンのシルヴァーセラフと外観は似ていますが、ボディはまったく別物。正式にはアナウンスされていないようですが、ベントレー・アズールをベースに仕立てられていたようです。

 パワーユニットはアズール同様、6.75リッターのV8ターボエンジンを搭載。ただ、最高出力はアズールが405馬力だったことに対して、乗り心地を重視するため325馬力に変更されました。

 とはいえ0-100km/hは8.5秒と、巨大なボディ(全長5405mm)を俊敏に走らせる動力性能を備えています。

 先代コーニッシュ同様、ハンドメイドで仕立てられる同車は、レザーやウッドをふんだんに使用する贅沢な内装がウリ。しかも、デュアルエアバッグ、トラクションコントロール、プリテンショナー付きシートベルトなど、当時としては先進的な安全装備を備えていました。

 ただ、初代と比べあまり語られることがないのは、製造がわずか3年間で終わってしまったことが要因でしょう。これは不人気だったからではなく、2003年からロールスロイスがBMW傘下になることが決まっていたからです。

 生産台数は約370台と非常に少なくロールスロイスのなかでも、とくに希少なモデルです。


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