このままじゃ市民の足がなくなる! バス運転士の不足に「運転体験会」で対策 (2/2ページ)

バスの運転ができるイベントを実施

 こういった背景から、近年では運行本数を減らしたり路線を廃止したりする事業者が現れて、交通インフラとしての役割を十分に担えなくなった地域もあるという。これらの状況を打破するべく、バス事業者各社はさまざまな工夫を凝らして、運転手の募集に力を入れ始めたのだ。

 東京都などで乗り合いバス事業などを展開している国際興業では、自社の路線バスに運転士募集のラッピング広告を開始した。その狙いは、バス運転手の魅力を発信することで応募者を増やそうというもの。広告には沿線のランドマークや市区の木や花などのほか、キャラクターのイラストなどを入れるなどして、沿線住民に親しみやすさをアピールしている。

 さらに一歩進めて、実際にバスの運転を体験できる採用イベントも実施した。営業所を利用して、バスの運転体験と事務所見学ツアーを開催し、実際に業務内容に触れてもらおうというものだ。近年は一般企業でもインターンシップ制度を実施し、採用前から職場体験を通じて互いの適正を見るといったことを行っている。このイベントは、その流れに沿ったものだといえよう。

 埼玉県を中心にバス事業など展開をしている朝日自動車では、傘下の自動車教習所でバスの運転体験を行った。教習所内に模擬停留所を設け、本番さながらの運転を楽しめるイベントである。参加者は、普通1種免許を保持していればよいのでハードルはかなり低い。実際にハンドルを握ってみることで、業務適性の有無を自身で確認することができるから参加する価値は高いといえよう。

 バスの運転手は身近な存在ではあるが、実際の運転がどのようなものであるかを知る機会は少なく、応募に至る一歩が踏み出せない人も多い。こういったイベントを各地のバス事業者が試み始めており、着実に採用実績が上昇しているところもあるという。

 大きな車両を、自在に操れるバス運転手は魅力のある仕事だ。興味のある人は、ぜひチャレンジしてもらいたいものである。


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