荷待ちは休憩ではなく労働
同法に基づくガイドラインでは、荷待ち時間を「トラックドライバーが荷物の積み下ろしのために待機する時間」と定義した。これには、以下の内容が含まれている。
・トラックの列待ち
物流施設に到着したときに、すでにほかのトラックが待機しており、荷役スペース(バースやプラットフォーム)に入る順番を待つ時間。
・荷物の準備の遅延
指定された時間に物流施設に到着したものの、荷主側の準備が完了していないため、荷降ろしや積み込みができずに待機する時間。
・積み下ろし場所の混雑
荷役スペースが混雑しているときの待ち時間。
・時間指定による調整
指定された配送時間に合わせるために、トラックドライバーが意図的に任意の場所で待機する時間。
これらの時間は、「使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」とされるために、すべて休憩時間ではなく労働時間と見なされる。すなわち、2024年に国土交通省の告示にある「年間の総拘束時間は3300時間以内、かつ1カ月の拘束時間は284時間以内」というトラックドライバーの拘束時間のなかに、荷待ち時間が含まれているということだ。
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とはいえ、現場仕事である以上は予定どおりにいかないこともある。そこで、労使協定により「年間6カ月までは年間の総拘束時間が3400時間を超えない範囲内において、1カ月の拘束時間を310時間まで延長することができる」という例外規定が設けられているのだ。
これを超えれば、いかなる理由があってもコンプライアンス違反。事業者は物流Gメンや公正取引委員会などから、「働きかけ」や「要請」を受けることになるのだ。トラックドライバーに負担をかける長時間の荷待ちは、長年に渡って物流業界にはびこっていた悪しき習慣だ。一朝一夕で改善できるものではないかもしれないが、行政と業界が一丸となって改善を進めていくことが望まれている。