格上相手にも迫るパフォーマンスを発揮
レースはグループ1(ST-X・3台、ST-Z・10台、ST-TCR・5台、ST-Q・1台、ST-1・2台の計21台)のなかで戦うことに。S耐のなかでは速いマシンが揃うグループです。
ハイパフォXは最後方からスタートすることになりますが、まわりに惑わされることもなく自身のラップを淡々と刻み、前日に走ったST-2クラスのタイムを睨みながら走ります。
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今回投入したアップデートも功を奏してラップタイムも速くなり、ST-2クラスよりも場合によっては速く、もうひとつ速いタイムを刻むST-TCRクラスにも割って入れるほどのタイムを叩き出していました。細かいトラブルはありましたが、ほぼノートラブルといっても過言ではない安定したパフォーマンスを発揮し、ノーペナルティでこのレースは総合17位で完走を果たしました。
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チーム監督兼チーフエンジニアの伊藤 奨さんは「決勝中のラップタイムを見ても目標だったST-2クラスに割って入れるくらいでしたし、ST-TCRクラスにも入り込めるくらいでしたので十分目標を達成できています。今回のアップデートも十分に効果を発揮してくれて、ぐいぐい曲がるAWDが出来上がりつつあると思います」と語る。
続けて、「DCCDのトルク配分やLSDの効果もしっかり出ています。やっとみんなで色々考えたものが形になってきました。下まわりの補剛も進めてきていて、ボディが少し捻れるというか、ボディとシャシーのズレみたいなものが出はじめているので、そこの修正が次への課題ですね。次のオートポリス、その次の岡山をスキップして最終戦の富士に戻ってくる予定ですが、2戦お休みする分、もっと進化させないといけないですね」と、「最後はより大きな課題の克服とアップデートがあるかも?」という内容を語ってくれました。
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プロドライバーの井口卓人選手と山内英輝選手は「この2戦くらいでものすごくクルマが進化している。『みんながやりたいことはこういうことなんだろうな……』というのがわかるほどの進化が見られました。ボディの補強などを進めていくと、より一体感のあるクルマになっていくと思います」と語ってくれました。
チーム代表の本井雅人さんは、「目標達成率はかなり高いところでできたと思います。次の課題はなんだろうか? という会話が出てくるようになって、開発メンバーの進化も感じられます」と語ります。
ハイパフォXがデビューを果たしたのが約1年前の2024年7月末のオートポリス戦でした。1年経っての経過について聞くと、「BRZでやってきた積み重ねが活かされないでゼロに近いところに戻ったときもありましたが、この2戦くらいで急激に進化したことで、その戻った分は取り返せたのかなと思います。オートポリスと岡山をスキップするのですが、長いようで短い開発期間で最終戦の富士に向かうためには、あまり余裕がありません。富士に向けてしっかりと経験を活かせるようにしていきたいです」と話してくれました。
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デビューしたオートポリスでの再戦はありませんが、最終戦の富士でどのような進化を見せてくれるのか、いまから楽しみです。