反撃してこないから……と舐めているユーザーも多い
同じ旅客運送事業でもカスハラとは縁遠いのが、企業送迎請け負いのバス事業者や貸切、いわゆる観光バス事業者となっているらしい。
企業送迎バスとは、郊外のバイパス沿いにある大規模物流センターなどの事業所と最寄りバス停の間で、そこに勤務する人を送迎するバスのこと。そもそも最寄り駅と送迎先とを結ぶので運行距離は短い場合が多いし、途中にバス停がなく停車する必要もない。また、利用するひともそこに勤務する関係者なので、顔なじみまではいかなくても、ある程度特定されるし、利用者も勤務先が用意するバスなのだから、そのバス車内で問題を起こすとあとが面倒ということを把握している。料金収受など、運転以外の業務がほぼ存在しないので、ドライバーのストレスも少ないようである。
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観光バスでは、路線バスやタクシーのような乗客によるカスハラ行為はほぼないとのことであった。
これはインバウンドで目立つようだが、集合時間を守らないといったことは目立つそう。しかし、これは運転士にとっては完全に業務外の話といえよう。動画投稿サイトでは、公共鉄道などでのインバウンドの迷惑行為の動画があがっていることがあるが、そんなインバウンドも車内で大騒ぎするなどの迷惑行為は聞いたことがないとのことであった。
日本との慣習の違いもあるようで、特別嫌な印象はないとしながらも、日本人利用者に比べると車内を散らかす(ゴミを放置する)ということはあるようだ。日本では習慣がないので仕方ないが、インバウンドを乗せると、降車時にチップを渡してくれることも多いとのことであった。
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聞いた話では、車内のお客ではなく周囲のクルマからのハラスメントが多いとのこと。複数の車線のある道路で、無理にバスの直前に入ってくるような車線変更や幅寄せのようなことを、あえてバスだからとして行ってくるクルマが結構いるそうだ。
車体に事業者名が入っているので……ということで、何をやっても売り言葉に買い言葉で、何かいい返してくることはないというということもあり、観光バスだけではなく、路線バスやタクシーでも似たような周辺車両からのハラスメントみたいな行為を受けることはよくあるようだ。
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ドライブレコーダーが普及する以前では、とにかくタクシーをめがけての当たり屋行為が多かったようだ。見た目で当たり屋をやりそうだというクセのある風貌のひと以外でも、主婦や高校生もタクシーめがけて自転車で突撃してきたと聞いたことがある。
道で客待ちしているときに、酔っ払いや反社系のひとが意味もなくタクシーを蹴ったりしてくることもそんなに珍しくないようだ。看板を背負っているから反撃はしてこない、そんな妙な安心感からタクシーやバスを意味もなく攻撃してくるひとは、車内や車外問わずいるようで、運転士にとってそのようはハラスメント行為への心理的負担は大きいのである。