発売からたった4日で受注停止のジムニーノマド! 簡単に想像できそうな人気っぷりをなぜメーカーは予想できなかったのか? (2/2ページ)

ジムニーには増産し辛い事情もあるが……

 ジムニーシリーズが納期遅延や受注停止に陥った理由として、クルマづくりの特殊性も挙げられる。純粋な悪路向けSUVだから、スペーシア、ハスラー、スイフトといったほかのスズキ車と共通化できない独自のユニットやパーツが多いのだ。

 まずジムニーシリーズは、ボディ骨格から異なる。モノコック構造をとる他モデルに対して、頑丈なラダーフレームにボディやエンジンを架装しているのだ。サスペンションは前後ともにコイルスプリングを使った車軸式で、これも悪路に対応した設計だ。

 駆動方式は、ほかの乗用車はFFだが、ジムニーシリーズは後輪駆動をベースにしたパートタイム式の4WDになる。悪路で駆動力を高める副変速機も装着した。

 以上のようにジムニーシリーズには専用のユニットやパーツが多く、サプライヤーも少量生産で供給している場合がある。増産するにはその供給能力も高めねばならない。

 そして生産規模を一度増やすと、同じ生産ペースを長く保たねばならない。生産ペースを下げたら、余剰な生産設備を抱えることになるからだ。サプライヤーに対しても、減産を強いることは難しい。

 そのためにジムニーシリーズのような特殊性を伴う車種は、抜本的な増産に踏み切りにくい。しかしそれを納期遅延や受注停止のいい訳にすることはできない。ほしいユーザーに責任をもって届けないと、転売が横行して中古車市場の混乱まで招き、ユーザーに迷惑を掛けたり、不利益を与えてしまう。ここに自動車産業の厳しさがある。


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渡辺陽一郎 WATANABE YOICHIRO

カーライフ・ジャーナリスト/2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
フォルクスワーゲン・ポロ(2010年式)
趣味
13歳まで住んでいた関内駅近くの4階建てアパートでロケが行われた映画を集めること(夜霧よ今夜も有難う、霧笛が俺を呼んでいるなど)
好きな有名人
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