環境のためには仕方がない措置
NOxは、燃焼が高温になるほど窒素と酸素の結びつきが強くなり、排出量が増える。大馬力のエンジンは、多くの燃料を燃やすことにより燃焼温度が高くなるのでNOx排出が増えることになる。もちろん、希薄燃焼においても、少ない燃料で最大の馬力を得なければならないので、燃焼温度は高めにせざるをえないが、燃料が燃え切るなら、燃焼温度は抑えられる。
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要は、余分な燃料を使わず、使った燃料は燃やし切ることが求められるのが、2000年規制である。もちろん、このあとに開発された高性能車は、直噴技術や電動化などを採り入れることにより、出力を高めながら排出ガス規制を満たしていくことになる。だが、1990年代のバブル期を通じて馬力競争してきた高性能車は、そのままの技術ではとても規制の達成は不可能になった。
国内の自動車保有台数は、1990年から2000年までの10年間で25%以上増えた。ちなみに、2000年から2022年まではわずか8%の増加で、ほぼ横ばいといえる状況だ。
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バブル経済の勢いを得て、国内のクルマは台数が一気に増え、それが気候変動を進めたともいえるし、排出ガス規制の強化をしなければ、再び大気汚染をもたらしかねない事態となったのである。
1990年代に消費者を沸かせた高性能な名車が消える運命にはなった。それでも、それを見過ごせない環境悪化が迫っていたのである。