この記事をまとめると
■ミシュランのプレミアムコンフォートタイヤの新作「プライマシー5」を試走した
■プライマシー5は新品状態でも摩耗状態でも高いウエットブレーキング性能を披露
■SUVやミニバンなどの車重のある車両にも余裕をもって応えてくれるポテンシャルがある
ミシュランのプレミアムコンフォートが第5世代に進化
栃木県にあるGKNドライブラインジャパンのテストコースで、2025年1月31日に発表されたミシュラン「プライマシー5」の試乗会が開催された。
プライマシー5は、コンパクトカーからセダン、ミニバン、SUVまで幅広い車種に対応するプレミアムコンフォートタイヤだ。先代モデルではそのラインアップを「プライマシー4+」と「プライマシーSUV+」の2種類にわけて展開してきたが、より消費者がわかりやすくタイヤ選びをできるように、そして販売店で同サイズ・2グレードの在庫を保有する無駄を省くために、今回からは「プライマシー5」として一本化された。
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こうしたグレードのシンプル化は、ミシュランが目指している「持続可能なタイヤ作り」の一環だ。同社は2030年までにタイヤの再生可能率を40%まで引き上げ、2050年までにはこれを100%にすることを目標に掲げている。
そのために求められるのは、タイヤの製造から廃棄までのライフサイクルにおいて発生する、環境フットプリント(環境負荷を数値化したもの)を減らすこと。なかでもその割合が80%以上を占める、走行中の環境負荷を減らすことが急務となっている。
つまり、タイヤの製造本数を減らし、より長く使えるタイヤを作ることで、ミシュランは環境負荷を減らそうとしているのだ。
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タイヤが減らずに長もちするようになれば、当然販売数は減ってしまう。しかしそれが消費者のためになり、環境を守ることにつながる。
こうしたサステナブルな目標に対してプライマシー5は、前作と比較してその耐摩耗性を約30%向上させてきた。また、タイヤが摩耗した状況でも、ウエットブレーキ性能を2.4%高めてきた。
それを確認するテストとして当日は、新品と残り溝を2mmまで削ったプライマシー5でのウエットブレーキング比較テストが行われた。試乗車はフォルクスワーゲン・ゴルフ eTSIだ。
ミシュラン・プライマシー5を履いたフォルクスワーゲン・ゴルフ画像はこちら
時速80km/hからのフルブレーキングを2回ずつ繰り返した結果は新品時が27.77mと27.70m。対して残2mmでは29.22mと29.61mとなり、制動距離の増加は約6%に留まった。
厳密にいえば人工的に削られたタイヤと、実際に使って摩耗したタイヤの性質は異なるが、スリップサインが現れる使用限界(残溝1.6mm)に届かんとする溝の浅さでも、その差が10%以内にあるのは非常に優秀だ。
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こうした高いウエットブレーキング性能を発揮させる新技術として、プライマシー5には「ロングラスティング スカルプチャー」というトレッドパターンが採用された。
具体的には、まずショルダーに隣接する縦溝の幅を広げ排水性を向上。また、ショルダーブロックの限られた面積のなかで、横方向に太溝と細溝を組み合わせて、エッジ数を増やした。こうすることでゴムが減っても高い排水性を保ち、路面を捉えることができるようになったという。
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ちなみにこの改良によって溝体積は、プライマシー4+と比較して10%以上増加したという。
また、「ファンクショナルエラストラマー 3.0」という新しい合成ゴムがコンパウンドに使われたことで、ウエットグリップ性能を確保しながら転がり抵抗や耐摩耗性という、背反する性能を高い次元でバランスすることができた。