車重の重いSUVやミニバンでも余裕のポテンシャル
ウエットハンドリングコースでは、先代「プライマシーSUV+」とプライマシー5を比較した。試乗車は、メルセデス・ベンツGLAだ。
ミシュラン・プライマシー5を履いたメルセデス・ベンツGLA画像はこちら
トレッドパターンを一本化すると聞いてまず思い浮かんだのは、以前のようなグリップ力を維持できるのか? ということだ。重心が高く車重も重たいSUVだからこそ、専用のパターンを用意していたのではないか?
結論としては、新パターンとなったプライマシー5も、プライマシーSUV+と同じくSUVのロールをきちんと受け止めてくれた。ごく普通に走らせているときは両者ともに変わらぬフィーリングで、濡れた路面でもいたって快適にカーブを曲がり、旋回しながらでも安心してブレーキをかけることができる。重厚感のあるGLAのステアリングフィールに対しても、上質に答えてくれる印象だ。
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そして、少し追い込んだ領域では、プライマシー5のほうがほんのわずかだが操舵応答性がよいと感じた。ショルダーブロックがより細かいピッチになったにもかかわらず、タイヤが路面を捉えているのはさすがだ。
走行後は両タイヤともにトレッド表面がきれいで、とくに中央リブのエッジが削られていないことには感心した。
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ドライ路面でのハンドリングや直進安定性は、高速周回路で確かめた。50km/hのスラロームでは操舵初期からグリップの立ち上がりがよく、切り込めば旋回Gがきちんと立ち上がる。
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時速80km/hからのレーンチェンジでは、切り返したときのヨーモーメントの収まりが見事だった。そしてバンクでは、時速100km/hを超えても高重心なミニバンの姿勢を上質に支えていた。また、最終セクションの置かれた段差を通過しても、入力をきちんと受け止め減衰していた。
本来はコンフォータブルな乗り心地が特徴的なプライマシーで、意外にも乗り味が少しシッカリ目に感じられたのは、試乗車が日産セレナだったからだろう。セレナはボディ剛性の関係からとくにダンピング剛性を柔らかく取っており、ややタイヤが勝ってしまっているように感じられた。
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だからもう少しシャシー剛性の高いミニバンであれば、しなやかな乗り心地とリニアな操縦性が得られたとは思う。裏を返せば、プライマシー5は、今後の電動化によって増えて行くであろう車重にも余裕をもって応えてくれるポテンシャルがあると感じた。
テストコースでの試乗ゆえに荒れた路面での乗り心地や静粛性は確認できなかったが、プライマシー5は、ミシュランの狙い通りに環境性能を高めた、プライマシー4+およびSUV+の正常進化モデルだといえるだろう。