外免切り替え問題は日本以外の国にも影響する
かつて、いまよりも日常的に汚職がまん延していた中国では、短期滞在か否かによらず、中国の運転免許を買うことができるビジネスが活況を呈していた。偽造運転免許ではなく、合法的な運転免許を一定の金銭を支払うと、非合法とはなるものの手に入れることができたのである。
以前に聞いたところでは、広い中国のなかにあって、非合法発行に協力的な当該行政当局のある地域が限定的に存在していたという。外免切り替えには居住証明が必要なので、ここでも合法的な居住証明を非合法に発行してくれる大家さんがいて、正式な申請書類が完備されるようになっていた。
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なお、日本の知識確認のようなものがあるので、切り替えには本人が出向く必要があるのだが、中国全土からその地域までの往復交通費(飛行機など)と宿泊代、そして非合法申請手数料などをまとめたツアー料金が設定され、しかもかなり良心的な価格だとのことであったが、それを支払うと合法的な運転免許を外国人でも簡単に取得できたそうである。
そんな話をあるひとにしたら、「そんなことをしなくても、実際に住んでいて合法的に申請書類が用意できるならば、中国でも外免切り替えでの試験問題(知識確認程度)は日本語版もありますし、簡単に中国の運転免許は取得できますよ」とのことであった。
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駐在などで中国に赴任する際には、現地の交通環境が劣悪なことなどもあり、原則中国国内でのクルマの運転を認めない企業がほとんどで、運転手付きの企業が用意した社用車が貸与されることが多いようだが、中国の運転免許証をもっていると、地元中国のひととの距離感は急速に狭まっていくといったことから(親しみをもってもらえるようだ)、クルマを頻繁に運転する用事がなくても、あえて取得したというひとの話も聞いたことがある。
いまも中国だけではなく、新興国では広く運転免許は買える(非合法で手に入れることができる)という話を聞くので、仮に自国の運転免許をもっているとしても、日本の要求水準はおろか、自国でもクルマを運転できるレベルの法規などの知識や運転技量が必ずしも備わっているともいえないなか、前述のように、簡単に運転免許証への切り替えができていたのである。
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今回の日本での外免切り替え問題は、単に日本へ来たお土産程度で日本の運転免許を取得されるのはもちろん、とくにジュネーブ条約未加盟国から訪日したひとも外免切り替えすることで、簡単に日本にてレンタカーを借りることができてしまい、交通事故を誘発しやすくさせているともされている。
しかし、もっと根深いのはジュネーブ条約未加盟国のひとが、日本の運転免許証をもつと日本で国外運転免許証も取得できるので、日本以外のジュネーブ条約加盟国でもレンタカーの運転などを可能とさせてしまったことになる。なので、この問題は日本国内だけに留まることなく、ほかの条約加盟国へも飛び火してしまうのだ。そのスケールの大きさから、これはかなり大きな問題ともいえる。
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厳格化は10月なので、それまでの駆け込み切り替えが多発するのは必至だろう。それでも早めに厳格化に動いたともいえるこの現状は、不幸中の幸いか。