「S+」は「MT」じゃなくても走る喜びを体感できる手段! 新型プレリュードの開発責任者に気になることを全部聞いてみた (2/4ページ)

過去にとらわれないスタイリング

──新型プレリュードをハッチバックスタイルのクーペにしようということは、企画の初期段階からある程度固まっていたんですか?

山上さん:いえ、それもやはり開発を進めていくなかで、とくに私が思っていたのは、クルマを移動の道具というだけではなく、なにかをしたくなるきっかけを与えてくれるものにしたかったんですね。そうなると、いろんなものが載せられるようにしたい。それでハッチバックにしました。

──なるほど。歴代プレリュードがすべてノッチバックだったので、新型がハッチバックになったのが意外だったんですが、とても納得できました。

山上さん:いまはいろんな価値観のお客様がいて、今日登壇したデザイナーもかなり若いですが、私もそういう若い世代から勉強しましたし、彼らも昔のプレリュードについて勉強したと思います。ですから、世代を超えて、いろんなお客様に使っていただきたいという想いがありますね。たとえばゴルフやサーフィンを友達同士で楽しんだり、さらには親子、兄弟姉妹といった使いかたも、できるようになったんじゃないかと。

──新型のボディ形態はハッチバックですが、全体的なシルエットは4代目に近い印象を受けました。ですが、そこはあまり意識していないということですね。

山上さん:そうですね。結果的にそう見えるという方は多いですが、デザイナーが4代目に重ねてデザインしたということはないですね。しかし、結果的にはいろんなものが歴代プレリュードとつながっていますね。2代目はキャビンが今見ても大きく見えるんですけど、寸法上は低いんですよ。

 やはり「人間中心」というのはホンダのDNAでですね。「Prelude」の筆記体ロゴも、歴代のなかでも印象が強い4代目のロゴと同様です。CMキャラクターも、4代目はアイルトン・セナ選手、新型は角田裕毅選手と、ともに現役のF1ドライバーが起用されていますね。

──今回あえてハイブリッドで、かつMTを設定せずに「操る喜び」を訴求し理解してもらうのは、なかなか難しいと思うのですが、そこをどうクリアしていこうと考えているんでしょうか?

山上さん:おっしゃるとおりですね。逆にそれがエンジニアの工夫や、新しいものを作ろうというきっかけになっていると思います。たとえば世のなかには何百馬力だとかゼロヨン何秒とかいう売りかたをしているクルマもありますが、いま改めて見ると、とくに若い人はそういうことを喜んでいるのだろうかという考えもありました。結局それは普通の消費と一緒ですよね。

 そういった数値を売りにできないなら、なにをホンダとして求めるべきかというと、やはりクルマとの一体感や対話だろうと。社内にもMT車乗りはたくさんいるんですが、よりインテリジェントな使いかたができる、新しい価値をもった「Honda S+ Shift」ができました。


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遠藤正賢 ENDO MASAKATSU

自動車・業界ジャーナリスト/編集

愛車
ホンダS2000(2003年式)
趣味
ゲーム
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