「Honda S+ Shift」で楽しさ追求
──「Honda S+ Shift」では、シフト操作によってエンジンの回転やエンジンブレーキの利き方、音の出方を自在にコントロールできるのでしょうか?
山上さん:そうですね。カスタマイズモードもありますが、デフォルトで6モードを用意しているので、いろいろなシーンに応じて使いわけやすいようになっています。
──スーパースポーツカーの世界ではいまやMTのほうが珍しくなっています。それが通用しているということは、もちろんパワートレインを壊さないためという点も大きいと思いますが、DCTやトルコンATでも3ペダルMTよりむしろ意のままに速く快適に走れるようになったからではないかと思われます。新型プレリュードの「Honda S+ Shift」でもそれが実現できていると考えてよいのでしょうか?
山上さん:そうですね。MT車は私も好きですし、そのよさはリスペクトしていますが、そのうえで「Honda S+ Shift」を作りました。パドルシフトで、NSXよりも早いくらいの変速レスポンスを実現しています。私もそうして自分でパドルを操作するんですが、自分がパドルを引こうと思った時にはクルマのほうが先に変速するんですね。ですから、クルマの方が一歩先を見て制御しています。
遠出して渋滞した際などは途中で奥様に運転を変わっていただくこともあるでしょうから、そうした時にMT車は辛いですよね。ですから、楽しんでいただくためのものは開発したうえで、いろんな方が運転できるようにしていますね。
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──逆に、シフト制御はクルマ側で一切せずに、ドライバーが完全にコントロールできるモードはあるのでしょうか?
山上さん:技術的には可能ですが、ある程度時間が経つとオートに戻るようにしています。高回転に入れっぱなしで走るのはクルマにも環境にも優しくありませんし。またワインディングなどでブレーキングをすれば、コーナー進入に備えて自動的にシフトダウンするようにしています。
──そこまで割り切れたのはシビックタイプRがあるからでしょうか?
山上さん:商品企画の難しいところは、なんでもやろうとするとぼやけますし、尖らせようとすると商品の幅を狭めてしまいます。そのバランスがすごく難しいですし、それを上手くするにはひとつの要素を諦めるのが簡単ですが、相反する要素をどう選ぶかが、一番難しかったですね。
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──絶対的な速さをシビックタイプRほどは追求していないにせよ、シャシーのコンポーネンツの多くはシビックタイプRと共通化しているそうですね。そういう意味ではオーバースペックにも感じますが……。
山上さん:シビックタイプRのコンポーネンツを使っていますが、サスペンションのセッティングは変更しています。ブレーキもブレンボ製ですが、ある程度ボリュームのあるほうが、安心してスポーツ走行を楽しんでいただくためには必要だと考えています。
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