安全のための時速90km制限が事故を誘発する原因に⁉︎
速度抑制装置の義務化によって、大型トラックの最高速度は時速90kmに制限されている。同じ時速90kmでも、メーカーによって微妙な速度差があり、これがまた厄介である。わずか1〜2km/hの違いで、全長の長い大型トラックが追い越しをかけるのは至難の業だ。再加速が難しいため速度を落とすわけにもいかず、追い越し車線に居座る時間をできるだけ短くしたいという気もちから、前走車にできるだけ近づき、ギリギリのタイミングで車線変更をする心理も理解できる。
だが、高速道路を飛ばしている乗用車との速度差は、サイドミラーで十分に確認できるはずだ。もちろん、速度違反をしている乗用車を擁護するつもりは毛頭ないが、進路妨害と感じられるような車線変更は極めて危険な行為である。しかも、ウインカーと同時にそうした動きを見せる大型トラックも多く、事故を誘発しかねない。そのような意識の低い運転をするドライバーは、もはやプロとは呼べないだろう。
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乗用車のようにアクセルを踏んでもすぐに加速せず、ブレーキを踏んでもすぐには止まれない。そんな大型トラックで全国を走りまわるのは、当然ながらストレスの多い過酷な仕事である。しかし、プロである以上、アマチュアである乗用車ドライバーの模範となる走りを心がけてほしいものだ。
お客さまから預かった大切な荷物を積み、ほんのわずかな不注意で他人の命を奪いかねないトラックを運転しているという自覚を常に持ち続けてほしい。プロとしての誇りと責任感を胸に、安全第一でハンドルを握ってもらいたい。そして、消えかけた「街道仁義」の精神をもう一度蘇らせ、誰もが気もちよく走れる道路環境を再び築いていってほしいと願っている。