まるで飛行機のようなスバルらしいコクピットが心を鷲づかみ! 初代アルシオーネはハイテクてんこ盛りの超先進的クーペだった (2/2ページ)

さまざまな初採用装備が盛りだくさん

 登場時は1.8リッター水平対向4気筒のEA82型ターボエンジンを搭載。4WDのVRターボとFFのVSターボという2グレード展開となっていた。トランスミッションは5速MTと3速ATが設定されており、現行スバル車に多く採用されているACT4(アクティブトルクスプリット方式AWD)のルーツとなる油圧多板クラッチを使用したMP-Tを採用。VRターボのAT車にのみ採用されたAUTO 4WDは、ブレーキング時やワイパー動作時に4WDになる機構を備えていた。

 1987年には2.7リッター水平対向6気筒、ER27エンジン搭載車のVXを追加。前後のバンパーやテールランプのデザインを専用とし、ATは4速化されると同時にAWDシステムは待望のACT4を採用。さらに、電子制御モータードライブパワーステアリング「CYBRID(サイブリッド)」を世界初採用。まさに現代の電動パワーステアリングの始祖ともいえるメカニズムだ。

 ほかにもエレクトロニューマチックサスペンション(EP-S)と呼ばれるエアサスは、車高をボタンひとつで最低地上高195mmまでアップできる。195mmといえば、現行型クロストレックなどとほとんど変わらないSUVレベルの車高だ。

 エクステリアやメカニズムに負けず劣らず、アルシオーネで特徴的なのがインテリアだ。航空機のコクピットを想起させるコントロールウイングと呼ばれるコラムから伸びたアームにライトやワイパーといったスイッチ類を集中配置。ステアリングのチルトとともに、このコントロールウイングとメーターパネルも上下することで視認性を確保しているのは面白い機構だ。

 このメーターパネルには、一部のグレードにオプション設定されていたデジタルメーターが非常にユニークなデザイン。一般的なデジタルメーターとは一線を画すグラフィカルなデザインで近未来感満点のアイテムだった。

 通常、エアコンのコントロールはセンターパネルかメーターパネルまわりと相場が決まっているが、アルシオーネではなんとシフトレバー横に温度調整レバーなどを配置。ガングリップタイプのシフトノブと相まって航空機のイメージを感じさせる。

 いま振り返っても先進的なデザインと、現代でも通じるハイテク装備。フラッグシップに相応しかったアルシオーネは、時代を超えた魅力的なクーペであることは間違いないだろう。


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