少なくともデザインからみれば日本で売れまくるハズ! ヒョンデ・インスターをデザインのプロが分析!! (2/2ページ)

懐かしさと未来感とのユニークな融合

 スタイリングの特徴であり、好評のもうひとつの理由はユニークな「顔」にありそうだ。薄いアッパーグリルと厚いロアグリルの組み合わせ自体は最近の流行でもあるが、丸形LEDランプが愛らしさを強調している。

「ヒョンデのEVシリーズの共通テーマとしてレトロフューチャーを掲げていて、未来感をもちながら同時に懐かしさも感じさせたい。丸形ランプではカッコかわいい親しみを感じさせつつ、ウインカーなどにはピクセルグラフィックを用いて先進感を打ち出しているんです」

 一方、側面で目を引くのは大きく張り出した前後のフェンダーだ。シンプルなドア面にまったく異なる部品を張り付けたような造形は少々突飛にも見えるが、同時にパネルの加工技術の高さも感じさせる。

「そこはSUVらしいラギッド感や無骨さの表現で、コナにも見られる手法ですね。モデラーにも高い技術が求められますが、加工としてはグループにヒョンデスチールを持っており、さまざまな協力を得られているかもしれません。アイオニック5の強いキャラクターラインも注目されましたが、ここもヒョンデのデザインに対する強いこだわりでしょう」

 同車は日本の軽自動車を徹底的に研究したというが、インテリアにもその片鱗がうかがえる。全席独立したスライド機構によるシートアレンジや64色のムードランプなどの細かな機能面もそうだが、とにかく車内の風景が輸入車というより軽自動車的なのだ。それを安っぽいと見ることもできるが、日本のユーザーにとっては受け入れやすさにつながるとも考えられる。

 さて、佐藤氏によれば、予約・購入者の声として「カワイイ」と同時に「カッコいい」というふたつの感想があり、その点は当初の意図どおりのようだ。さらに、ボディカラーでは当初セールスカラーの「バタークリームイエローパール」が人気だったが、ここに来てグリーン系の「トムボーイカーキ」が逆転しているそうだ。その点でも、デザイナーの強いこだわりが理解されているのかもしれない。

 それだけに、もしHV仕様があれば……などと想像してしまうのは、いささか後ろ向きの発想だろうか(笑)。


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すぎもと たかよし SUGIMOTO TAKAYOSHI

サラリーマン自動車ライター

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好きな有名人
筒井康隆 /三谷幸喜/永六輔/渡辺貞夫/矢野顕子/上原ひろみ

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