6速MT搭載モデルはスポーツカーに匹敵するパフォーマンス
当初、2リッターエンジン(QR20DD型)と可変バルブタイミング機構採用の2.5リッター直噴エンジン(QR25DD型)に6速マニュアルモード付CVTを組みわせたパワーユニットを用意した3代目プリメーラだが、走り好きの人たちに注目されたのは、2001年8月に加わったスポーティバージョンたる20Vグレードの存在だった。このモデルは、2リッターエンジンはレース用としても使われたSRユニットであり、可変バルブタイミング機構を備え、最高出力は2リッター標準モデルの150馬力から一気に204馬力まで高められ、トルクも21.0kg-mを発生。
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しかも、ミッションはマニュアルの6速MTのみという、当時のホンダ・インテグラTYPE R(2リッター220馬力)ほどではないにしても、かなり攻めた企画、設定だったのである(セダンとステーションワゴンに設定)。
当時、その走りを山道で体験したことがあるが、エンジンの機械的精密さある回転フィール、本領発揮の高回転でのパンチの気もちよさ、そしてショートストロークで吸い込まれるようなシフトフィール(BMWや日産GT-R、トヨタ・スープラなどに採用されたゲトラグ製ミッションに匹敵!?)をもつ6速MTの素晴らしさもあって、走りの面では当時、かなりハイレベルであり、まさに”技術の日産”を象徴する1台でもあったのだ。
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2002年にはセダンの新グレード18Cを追加。1.8リッターエンジンを搭載し、E-ATx=4速ATを組み合わせ、約185万円というお買い得さをアピールしていた。
が、日産デザインヨーロッパのスイス人デザイナーが手掛けた、個性的なエクステリアデザインは賛否両論。デザインの専門家からの視点では評価が高く、グッドデザイン賞金賞、ドイツのレッドドットデザイン賞を受賞しているものの、妙に丸みを帯びた、のっぺりとした顔をもつモノフォルムプロポーションの3代目プリメーラのスタイルは、すくなくとも日本の一般人にとっては極めて好みのわかれる姿だったといえるかも知れない。
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2000年代は世界的にクロスオーバーモデルが勢いづいたころであり、そうした自動車を取り巻く環境の変化から、スペイン語で「最高級」を意味するプリメーラは2008年に生産、販売を終了。約18年の歴史の幕を下ろすことになった。3代目は走りにフォーカスすれば、かなりハイレベルだったんですけどね……(惜)。