「店長なんてやりたくないっすよ」 いま新車ディーラーで出世を望まない社員が増えている (2/2ページ)

店長の役割は売ることではなくチームリーダー

 ベテランセールスマンのほうが現場に精通しているのに、及び腰な対応になることも多いなか、新人セールスマンは遠慮なく自己主張をしてくる。それをちょっときつく指導しようものなら、パワハラや状況によってはセクハラなどでも訴えられかねない昨今。そのような新人セールスマンの教育係を積極的に引き受けようというセールスマンも少なく、店長がその役目を引き受けることも目立つようである。

 販売現場で長きにわたり新車を売ってきて店長になると、馴染み客からそのあとも「新車がほしい」との問い合わせを受けることが多い。そのときは自分が管理する店舗のセールスマン個々におすそわけして、正式受注業務などを依頼することになる。

 ただ、販売職以外から店長として赴任すると、あまりそういった案件はなく、現場との不協和音とまではいかないが、なんとなく気まずい空気も流れやすいようだ。

 過去には目立っていたプレイングマネージャー、つまり自らもノルマを課され新車を販売しながら、店舗管理業務も行う店長は、いまでは少数のようだが存在するようだ。

 かつては店舗以外に、訪問販売で腕を磨いた販売の強者が集まり、それぞれが一匹狼として新車を売りまくっていた大昔の新車販売現場は、とにかく売れればなんでもよかったので、ある意味野放し(表現はあまりよくないが)に近い状態で新車の販売促進活動を個々で行っていた。

 しかしいまは、新車販売は担当者の一匹狼的仕事というのは基本でありながらも、訪問販売などはせずに、店頭販売にシフトし、店舗全体で業務に取り組むといった色合いも濃くなってきている。そのチーム運営を、店長が管理業務を筆頭に専任するようになってきているのが、いまの新車販売現場だ。

「現役セールスマン時代には売りまくっていたんだろうなあ」と思われる店長と、ときおり店頭で話をすることがあるが、どこか居場所のないような印象を筆者は感じ取ってしまうことがある。


この記事の画像ギャラリー

小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

-

愛車
2019年式トヨタ・カローラ セダン S
趣味
乗りバス(路線バスに乗って小旅行すること)
好きな有名人
渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

新着情報