GIIAS2025にも見慣れないインドネシア車が登場
プラボウォ大統領が就任してから初めての開催となった、GIIAS2025(ガイキンド・インドネシア国際オートショー/2025年7月24日~8月3日開催)の会場内でも、いままで会場内では見かけなかったインドネシア車が展示されていた。
大統領の「国民車を」という意向があるのに、展示棟ではなく会場内コンコース部という寂しい場所にブースを構えたのは、インドネシアでは家電ブランドや電動スクーターですでに有名な「ポリトロン(PTハルトノ・イスタナ・テクノロジー)」のBEV(バッテリー電気自動車)だ。「G3/G3+」というクロスオーバーSUVスタイルのBEV(バッテリー電気自動車)は、中国の家電大手「創維集団(創維グループ)」の自動車製造部門となる「創維汽車(スカイワース・オートモービル・インテリジェンス社)」との共同開発車となっている。
ポリトロンG3+のフロントスタイリング画像はこちら
報道では単なる創維汽車モデルの現地生産版ではなく、「スカイワースK」というモデルをベースに、インドネシア市場に合わせた共同開発が行われているとしていた。なお、部品を中国から輸入してインドネシア国内でノックダウン生産されている。
ユニークなのは車両購入時にバッテリーについては、レンタル扱いとすることで、買い取り(バッテリーも買い取り)の場合の4億1900万ルピア(約383万円)に対し、2憶9900万ルピア(約273万円/バッテリー月額利用料120万ルピア[約1.1万円]が別途かかる)となり、BEVでありがちな割高な車両価格の緩和も図られている。
ポリトロンG3+のバッテリーサブスクリプションサービス画像はこちら
さらに、こちらもBEVでありがちな不安要素である、再販価値の落ち込みスピードの速さに対しては、3年後の再販価値として新車販売価格の70%を保証するとしている。正式発売となったのは2025年5月で、月販目標台数は1500台とのこと。どこまで存在感を示すことができるかこうご期待といったところである。
もうひとつ気になったのが「i2Cプロジェクト」という展示ブースで、こちらもコンコースにブースを構えていた。i2Cとはインドネシアの国家電気自動車プロジェクトの略称である。しかもポリトロンのような、外資との共同開発のようなものではなく、純粋なインドネシア車を目指していると地元では報道されている。
とはいうものの、「すべてを自前で」とはいかないので、このプロジェクトについてイタルデザインにインドネシア政府が支援を委託しているとも報じられている。展示されていたのはフルスケールでのモックアップ(原寸大模型)であった。さしずめ、ベトナムのヴィンファストあたりをモデルとしているとも報じられていた。
i2Cプロジェクトとして展示されていた車両画像はこちら
GIIASは毎年開催されている、次回、つまり2026年には正式な展示棟内にポリトロンやi2Cが展示ブースを構えているかもしれない。「自国自動車ブランドをもちたい」という、経済成長の進むインドネシアの勢いというものを感じるトピックである。